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第7回
血小板輸血したのに血小板が減るのはなぜ?
輸血で産生される抗HPA-2b抗体

 血小板製剤を輸血されている血液疾患患者の主治医(血液内科医)から、問い合わせの電話がかかってきました。「昨日、輸血したHLA適合血小板の効果がない。輸血前5000/μLの血小板数が輸血したら1000/μLに下がってしまった。これまで納品されたHLA適合血小板製剤の輸血は有効だったのに、今回はなぜ?」。

 患者の状況を確認すると、血小板輸血不応答の非免疫学的要因である発熱、感染症、出血、DIC、脾腫は否定されるということでした。「今回の血小板製剤は、患者とHLA適合度が完全適合の製剤を供給しましたので、抗HLA抗体の影響は否定されます。おそらく抗血小板抗体が産生されたのではないでしょうか」と説明しました。電話を切った後、担当者は「抗HPA-2b抗体かな」とつぶやきながら抗血小板抗体(抗HPA抗体)検査の準備にとりかかりました。

 今回はHLA適合血小板輸血不応答患者から検出された抗HPA-2b抗体の臨床例とその抗体産生にまつわる不思議をお話ししたいと思います。

HLA適合血小板とは

 抗HLA抗体の産生された患者に血小板を輸血すると、輸注された血小板上のHLA抗原と抗HLA抗体がただちに免疫破壊反応を起こし、血小板輸血不応答(platelet transfusion refractoriness;PTR)に陥ることがあります。抗HLA抗体により血小板輸血不応答に陥った患者にHLA抗原の適合した供血者から得られた血小板を輸血することにより、一般的に有効な臨床効果が得られます。そこで、赤十字血液センターではHLA適合血小板製剤を供給していますが、10単位、15単位、20単位の3種があり、有効期限は採血後4日間です。

著者プロフィール

様々な組織に所属し多様な業務に従事する臨床検査技師のグループが交替で執筆します。検査にまつわるあらゆる問題について意見交換を重ね、解決策を模索し、経験を積んだ精鋭が揃っています。

連載の紹介

医師の知らない?検査の話
臨床検査に関しての基礎知識や思わぬ落とし穴、多彩なエピソードなど、現場の視点ならではの考え方や発想も含めて、各分野に精通した臨床検査技師が、自身の経験を元にお伝えします。

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