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症例検討◎63歳男性、心不全増悪のため緊急入院
「あきらめない」と話すA氏にどう応えたら?
看護師の立場から難治性心不全患者の治療と緩和ケアを考える

2020/04/02
田中 奈緒子(兵庫県立姫路循環器病センター)

 看護師は、患者・家族の一番近くにいます。そのため、患者が病期をどのように受け止めているのかや、患者・家族の思いや意向を知る機会も多くあります。患者と医療者、患者と家族の間に考え方の差異があれば、それを埋めるために働きかけることもします。

 大西哲存先生(兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科)が解説された症例に、チームの一員としてかかわりました。難治性心不全患者に対して、治療と並行して緩和ケアが提供された事例です。看護師の立場から、どのようなアプローチが行われたのか振り返ってみたいと思います。

 本事例においても、A氏や妻が思う病期と医療者が考える病期にはズレがありました。また、A氏と妻が今後のことを話し合うことはしていませんでした。以下に、経過とともに、A氏の思い、妻の思い、看護師の対応を見ていきます。

 第79病日目。感染を機に病状が悪化し、本人と妻に病状の説明が行われました。本人には、挿管し呼吸器管理を行うかどうかの確認がされました。話し合いの結果、侵襲的処置は行わない方針となりました。その際のA氏、妻の思いは以下です。看護師は、A氏と妻の意向に相違が見られることから、本人の意思が尊重されるべきではないかと考え、A氏と妻が話し合える場をつくりました。

表1 第79病日のA氏と妻の思いと看護師の対応

著者プロフィール

兵庫県立姫路循環器センター循環器内科の大石醒悟氏と神戸大学医学部附属病院緩和支持治療科の坂下明大氏が立ち上げた循環器×緩和ケア研究会のメンバー。

連載の紹介

心不全治療×緩和ケアの現実
心不全緩和ケアは、日常診療において欠かせないものになっています。治療をしながら提供する緩和ケアの実際を、症例検討という形で振り返り、そのノウハウを共有していきます。

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