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【連載第6回】
患者の電話に辟易、クモ膜下出血を見逃す
牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)院長 牧瀬 洋一氏

2007/04/09

 ある大きな病院に勤務していたとき、慢性閉塞性肺疾患在宅酸素療法を導入し、外来でフォローしていたが、どうしても通院困難となり、私自身が訪問診療を行っていた患者さんがいる。この患者さんはかなりの高炭酸ガス血症だったが、在宅酸素療法がまだあまり普及していない時代であり、病診連携で診療所で診てもらうことは難しかった。

 そこで私の自宅の電話番号を教え、万が一の時の対応することにしていた。ところが、毎日病状を説明する電話が入り、内心、「少々厄介なことになった」と思っていた。訴える症状は多種多様で、不定愁訴が多く、部位的にも系統的にも意味不明な症状が多かった。

 ある晩、頭痛を訴える電話がきた。もともと高血圧もあったが、高炭酸ガス血症によるものと考え、「翌日対応します」と返事し、その日は終わった。しかし、その夜、突如、昏睡となり患者さんの近くの病院に救急搬送されたと、後日、家人から聞いた。クモ膜下出血で、お亡くなりになったという。それまで遠路の訪問診療を繰り返していたこともあり、家人からは感謝の言葉をもらったが、内心やりきれないものが残った。

連載の紹介

苦いカルテ・幸せのカルテ
医師であれば、苦い思い、あるいは心の残るエピソードを体験されていると思います。これらの貴重な体験は、他の医師の教訓として生かすことができ、多くの医師の心の支えになるものと考えられます。「苦いカルテ・幸せのカルテ」は、こうした体験談を医師会員の皆様から募集、掲載していく企画です。

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