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専門性などを考慮して複数のメンターに相談を
転職に迷ったらメンタリングを受けよう!

2011/09/30

 この講座では、毎日の仕事の満足度を上げるスキルを提案しています。第1回第2回は、キャリア形成をサポートする手法「メンタリング(メンターシップ力)」を紹介しました。メンタリングとは、経験豊富な人物(メンター)が若手・中堅スタッフ(メンティ)に対し、専門知識やスキルだけでなく、人生における色々な場面での考え方について助言を与えることです。

 今回は、医師が転職を考える際に受けたメンタリングを例に、「メンティとしての心構え」と「メンターを選ぶポイント」を解説します。

他大からのスカウトで、メンタリングを最大限に活用
 筆者の一人、上野は実は昨年5月、ケースウエスタンリザーブ大学病院(米国オハイオ州、以下、ケースウエスタン)から「乳がんプログラムディレクター」としてスカウトされました。その時点で、ポジション、給料、研究資金のいずれもMDアンダーソンがんセンターより格段に上がるという条件を提示されたのです。そこで、メンターから色々な助言を受けながら、ケースウエスタン側と面談を4度重ねたところ、今年4月には契約書が手元に届きました。

 今回はこの体験談をお話ししましょう。ここから先は上野本人に語ってもらいます。

 きっかけは、知人から声をかけられたことでした。
「君は、MDアンダーソンがんセンター以外の病院にも興味がありますか?」
 この質問に対する私の答えは、常に「Yes」。自分の価値を知ることができるからです。

 ケースウエスタンから講演に呼ばれたため、早速、見学を兼ねて行ってみると、病院は新しく素晴らしい施設で、大学は基礎医学のプログラムがしっかり組み立てられていました。そのとき、お互いに良い印象を抱くことができました。3カ月後には、ケースウエスタンから「乳がんプログラムディレクターに就いたら、どんなビジョンやプログラムを構築し、運営していくか」と具体的なプランの提示を求められました。

 私はトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究:研究成果を臨床現場で応用し、標準治療を確立する)で、特に「乳がんの分子標的療法」と「転移性乳がんの新しい治療法」を開発していきたいと考えています。「これらを病院の特徴にできるなら」と思い、現在のケースウエスタンでどんなことができるか、今後さらに必要な資源は何か、自分にはどんなことができるかなどのプランを作成しました。

 私のミッションは「トランスレーショナルリサーチによって、分子標的療法やバイオマーカーを開発し、患者の苦しみを減らすこと」。ビジョンは「世界でその分野のリーダーとなるグループを作ること、次世代のオンコロジーリーダーを育てること」です。

 それも製薬会社からアイデアや資金を得るのではなく、自分たちが発案したことを国からの出資でやり遂げたい。そのためには、どこで、どんなポジションで働いていけば早くミッションを達成できるのか、それがケースウエスタンなのかどうか―を見極めるため、5人のメンターに意見を求めていきました(図1)。

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