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英文校正者が教える医学論文執筆の極意

【Vol.8】ちょっと楽をしただけのつもりが… その論文ホントに大丈夫?
自覚の薄い「研究不正」に要注意!!

2018/10/16
エディテージ・インサイトチーム

<登場人物プロフィール>
タロー先生本名、吾妻太郎(あずま・たろう)。大学病院で勤務する超多忙な外科医。病院で診療や手術をしていないときには、学生の指導や論文の執筆に明け暮れている。暇さえあれば最新の論文をチェックしている熱心な研究者だが、英語が少し苦手。
エリーさん本名、エリー西島(えりー・にしじま)。メディカルライター。タロー先生の研究室に通って論文執筆や学生の論文指導を手伝っている。イギリス人と日本人のハーフ。


 タロー先生の論文の締め切りまであと1カ月。そんなぎりぎりのタイミングで、エリーさんが突然イギリスに呼び戻されてしまいました。Skypeで原稿のやり取り自体は続けられますが、時差のせいもあって病院に来ているときのようにはチェックできそうもない、とエリーさんは申し訳なさそうです。今日もSkypeで連絡を取っていますが、タロー先生は、なぜか余裕の顔をしていて…?


<英語に自信がないせいで…?>

エリーさん:こんな大事な時に…本当にすみません。母の具合が良くなったら、すぐに戻ってきますから!

タロー先生:いやいや、5年ぶりなんだろう?僕の方は大丈夫だから、ゆっくり積もる話をしてきなさい。

エリーさん:でも…

タロー先生:論文のことなら、心配しなくていい。ほとんどのセクションはもう書けているから、君がそちらに行っている間に写真を整理したり、図表を作ったりしておくよ。

エリーさん:ほとんどって…えっ、そんなにできているんですか!?

タロー先生:ふっふっふ、聞いて驚くなよ。Introduction(序章)とMethods(方法)は書き終わっているし、Results(結果)もあと1、2段落書けばいい。Discussion(考察)は半分以下で、確かにここは問題だけど、逆に言えばここだけだから、君が戻ってきてからでも何とかなるだろう?

エリーさん:確かにそれなら間に合いそうではありますが…確かつい先週、書き始められたばかりではありませんでしたか?もしかして今回、Full Paper(本論文)ではなくShort Report(短報)ですか?

タロー先生:本論文だよ。今できているところだけでだいたい3000ワードくらいあるから、完成させるとだいたい4000ワードくらいになりそうかな。

エリーさん:1週間でそんなに?!Introductionの下書きだけで2週間以上かかっていた先生が…?先生、成長したんですね…!!

タロー先生:ありがとう!そんなに褒められると照れてしまうね。…次が怖いから本当のことを言ってしまうと、今回は一から書いたわけじゃないんだ。今回の論文のテーマは、前に書いたことがあるものと似ているからね。背景と先行研究はそのまま写せばよかったから、Introductionには1時間もかかっていない。Methodも被験者の数や薬の名前を少し直せば…え、どうしたの、顔が怖いよ?

エリーさん:先生が怒らせるからです!

タロー先生:何かマズいところがあったかい?

エリーさん:マズいところしかありません!いいですか、先生、その論文がたとえ無事書き上がったとしても、今のまま投稿したら100%リジェクトです。

タロー先生:どういうこと?

エリーさん:Plagiarism(剽窃)という言葉は、さすがにご存じのはずですよね?

タロー先生:もちろん、分かっているさ!他の誰かの論文を、引用記号もつけないで丸写しにすることだろう?

連載の紹介

英文校正者が教える医学論文執筆の極意
英文校正論文翻訳論文投稿サポートサービスを手掛けるカクタス・コミュニケーションズのエディテージ・インサイトチームが、医学論文・生命科学論文でよく日本人の研究者が間違える英語表現や論文の勘 違いを、実例と共に毎回1つ取り上げて解説します。英語論文はロジカルに書かれているがゆえに、ちょっとした文法や表現のミスにより研究内容が全然異なる意味に取られてしまう可能性があります。そんな日本人が気づきづらい医学論文執筆の極意を紹介していきます。
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