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病医院PRレベルアップ講座

「テレビCMが一番良いかも」と思い始めた理由

2022/06/23
松本 卓(小倉記念病院、病院マーケティングサミットJAPAN Executive Director)

 小倉記念病院の松本です。今回はテレビCMについて考えてみたいと思います。

 個人的には、当院が今後利用する広報媒体として、テレビCMがもう一番手っ取り早い手法かなと思い始めました。この思考に行き着くまでの経緯をお話ししたいと思います。

 一般企業では、マス広告離れが進行。顧客情報を一元管理するシステム(CRM)を導入するなどして、顧客一人ひとりの嗜好に合わせた最適なコミュニケーションを行う「One to Oneコミュニケーション」を目指す方向にあると言われています。

 ならば、患者紹介元となる医療機関とのコミュニケーションにおいて、紹介実績などのデータが蓄積できて、マーケティング活動を自動化するMA(マーケティングオートメーション)機能も付いているCRMを導入したらいいんじゃないか──。そう考えたくなりますが、仮にCRMで口説くべき医療機関が分かったとして、どうコミュニケーションを取るのか。当院は営業担当者が1人だけだし、そもそもCRMで配信するコンテンツを松本1人で作れるのか?

 そもそも、当院の中長期目標はコアブランドで診療圏を拡大すること。国内有数の「心臓ブランド」があるので差別化はできそうです。しかし、どこの地域も医療連携体制は構築されていて、当院が入り込むにはハードルが高く、遠くの地域にある医療機関に選んでもらえる確率は低い。そうなると、生活者に選んでもらうほかない。最近はかかりつけ医ではなく患者さん個人や家族が急性期病院を選ぶケースが増えているし、それならマス広告しかないのかな──。そんなふうに考えるに至ったわけです。

 しかも、小倉記念病院は九州最北部の北九州市にあるので、立地的に山口県と大分県の患者さんも受診される。広告代理店の担当者によると、(仕組みはよく分からないのですが)福岡で打ったテレビCMを山口、大分でも放送することが可能とのこと。高齢者が見るであろう朝6時台のCM枠の料金が結構安いので、コスト面も大きな問題にはなりません。

 CMを見て、病気でもないのに小倉記念病院に行くなんてことはあり得ないので、一般生活者の頭の中に「小倉記念ブランド」が残ればいいと思っています。

 CMで心臓や脳の治療に強い病院だと印象付け、次のフェーズで、患者さん本人からかかりつけ医に「紹介状は小倉記念病院に書いてほしい」と頼んでもらう。患者さんに言われて断るかかりつけ医は少ないと思いますので、その流れで当院を選んでもらうのが、マス広告で期待されるフローです。一昔前だったら、患者さんは黙ってかかりつけ医が紹介する病院に行くだけの、選択権のない時代でしたから、この戦術は通用しなかったかもしれませんが、時代は変わりました。

著者プロフィール

病院マーケティングサミットJAPAN●「Evidence Based PR」の観点から病院広報を議論し、良い医療を提供している病院が真っ当に患者や医療職(求職者・開業医)から選ばれるための方法論を共有することを目的としている。運営スタッフには医師や看護師、病院広報担当者などが参画。

連載の紹介

病医院PRレベルアップ講座
「当院は良い医療を提供しているのに、広報がうまくできておらず、患者や紹介元の開業医、求職者から評価されていない」――。そんな思いを抱いている病院スタッフは多いのではないでしょうか。このコラムでは、様々な実践例を基に、自院の魅力を最大限にアピールする手法を紹介します。

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