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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
南極の遠隔医療相談事情

2015/01/28
町田浩道

 オングル中央病院では、1人で全科(産婦人科、小児科を除く)の診療を行い、あらゆる救急患者を引き受けます。希望してまで南極昭和基地に来る医療隊員は、1分1秒を争う外傷初期治療の対応(primary~secondary survey)は習得しています。問題は、超急性期を乗り切った後の個別対応、特に医療隊員の専門外領域疾患に対してどう対処するかです。日本国内であれば「自己の診療能力を超える場合には適切な診療科の医師に引き継ぐ」「専門医、専門病院へ紹介する」ところですが、文明圏から隔絶されたオングル中央病院でそれは不可能です。

 遠隔医療相談は南極でも専門医のアドバイスが受けられよう考え出されたシステムです。オングル中央病院(南極)・東葛病院(千葉県流山市)・国立極地研究所(東京都立川市)をインテルサット衛星回線で繋ぎ、テレビ会議のようにリアルタイムで診療相談を行えます(写真1)。定例で毎月1回、さらに症例がある場合は随時回線をつないで診療相談をしています。東葛病院の担当者である副院長の大野義一朗先生は、かつて39次隊で南極越冬を経験されています。南極の状況を分かった上で、難局(…)で困っていることを専門医に的確に伝え、現場側の言葉足らずを補ってくれる、大変頼りになる存在です。

著者プロフィール

町田浩道(第55次日本南極地域観測隊越冬隊医療)●まちだ ひろみち氏。1980年東京医大卒業後、東京女子医大第2外科に入局。88年聖隷浜松病院外科。2013年7月に休職し、国立極地研究所南極観測センター第55次日本南極地域観測隊に。2013年12月から昭和基地に滞在中。

連載の紹介

町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
南極昭和基地という極限下の医療事情を、越冬生活のエピソードを交えて紹介します。オーロラやペンギン、ブリザードなど南極の魅力についても伝えたいと思います。連載を通して、南極への関心が高まれば幸いです(越冬医療に興味を持ってもらえれば最高)。

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