「我々はコロナ禍の中、日本の近未来を見ているのだ」
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、症例数の大激減を見て、日本病院会会長の相澤孝夫氏がこう述べられたことを、前回の記事で紹介した(関連記事:データが示す「コロナでどんな患者が消えた?」)。
新型コロナの影響で、全国の病院の経営が危ぶまれる中、相澤会長はなぜ「日本の近未来」と指摘したのか。筆者はこの指摘をひもとくキーワードは、新型コロナによってあぶり出された、中途半端な急性期医療をしている“なんちゃって急性期病院”にあると考えている。
この“なんちゃって急性期病院”を説明する具体例の1つを挙げるとすると、海外諸国であれば外来で行っている日帰りの検査や手術を日本では入院で行うことが顕著に多いことがある。我々のデータ分析による試算では、たった3つの検査と手術の入院医療を海外諸国並に外来化するだけで、1000億円以上の医療費削減につながることが分かっている。
今回はこの“なんちゃって急性期病院”の入院医療について、新型コロナの影響を皮切りに、なぜ外来化が進まないのか、客観的なデータを軸に現状と課題を見ていこう。
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著者プロフィール
米国在住。10代で渡米し、カリフォルニア大学バークレー校で博士号(経済学)を取得。同校とスタンフォード大学で教師を務め、スタンフォード大学に医療政策部を設立。米国議会調査局(U.S. Office of Technology Assessment)などのアドバイザー、米国グローバルヘルス財団理事長、グローバルヘルスコンサルティング米国会長などを歴任し、現在、病院経営コンサルティングを行うグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン会長。(写真:寺田 拓真)。

連載の紹介
アキよしかわの「ポストコロナの時代の病院経営」
米スタンフォード大学の医療経済学者として、また米国および日本を拠点とする2つの医療コンサルティング会社の幹部として長年、日米の医療を俯瞰してきたアキよしかわ氏が、DPCデータを基に日本の病院経営の問題を斬る。
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