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前日の決定を忘れる認知症患者への対応は?

2018/08/16
西川 満則(国立長寿医療研究センター病院)

 前回は、人生の最終段階にあるとはいえ、比較的早い時期に事前指示を表明し、医療ケアチームがその背景にあるお気持ちを伺うことができたCさんの物語について書かせていただきました。また、本人の意思は最期まで変わることがなく、さらに、本人、家族、医療介護職間の意見の対立もなく、ご本人の選好(意向)を尊重するエンドオブライフケアを受けられました。今回は、「意思決定能力ってなんだろう」というテーマで、少し判断に苦慮した70歳代の男性患者(Hさん)のアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を紹介したいと思います。

 Hさんは、普段のコミュニケーションに問題はないのですが、認知症によるもの忘れのある方で、奥さんのことをとても大事にされていました。

 Hさんは、ある時、肺癌と診断され、主治医からは、手術や放射線治療ではなく、抗癌剤治療の提案を受けました。Hさんご本人も、「少しでも長く生きたい」と抗癌剤治療を希望されました。

 医師からは、抗癌剤の延命効果は約半年であることや、様々な副作用について説明を受け、Hさんはよく理解された上で、「薬で癌と闘う」と抗癌剤治療を選択されました。

著者プロフィール

西川満則(国立長寿医療研究センター病院エンド・オブ・ライフ[EOL]ケアチーム医師)●にしかわみつのり氏。1989年岐阜薬科大卒、1995年島根医科大卒、愛知国際病院ホスピス、名古屋大学呼吸器内科を経て、2000年国立長寿医療研究センター着任。2011年より現職。

連載の紹介

アドバンス・ケア・プランニング事始め
患者が望む終末期医療の実現に欠かせないアドバンス・ケア・プランニング(ACP)。とはいえ、ACPとはそもそもどのようなものなのか、疑問に思う医療介護職は少なくないだろう。人生の最終段階におけるケア(エンド・オブ・ライフケア)に詳しい西川氏が、ACPの基本となる考え方を解説する。

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