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医師8763人に聞いた職場での経験談とパワハラ対策の実際
25%が「人格を否定されるような発言」を経験
「○○以下」「存在価値がない」……相談窓口への通報にためらい

2022/06/09
吉良伸一郎=日経メディカル

 2022年4月に改正労働施策総合推進法が全面施行され、医療機関も規模の大小を問わずパワーハラスメントの防止策などを講じることが義務付けられた。

 パワハラ対策を進める上で、まず把握しなければならないのがパワハラの定義だ。改正労働施策総合推進法では、パワハラを「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義。厚生労働省は典型的な態様として「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」──の6類型を示している。

 この6類型の中で、医療現場で判断に悩むことが多いのは、指導が「精神的な攻撃」に該当するか否かだ。

 仁邦法律事務所(東京都港区)所長で弁護士の桑原博道氏は、日経メディカル Onlineへの寄稿において、過去の裁判例を基に、職場での指導が「精神的な攻撃」によるパワハラとならないようにするための4つの注意点を挙げている(関連記事:「指導」とパワハラを分ける4つのポイント)。1つ目は指導の対象を「人」に向けない(人格攻撃をしない)こと。2つ目は、指導の際に周囲の物を蹴るなど「物に当たる」行為をしないこと、3つ目は反省文などを書かせないことだ。反省文に関しては、パワハラを巡る裁判になった際、裁判所に「内心をコントロールしようとした」と判断されるリスクがある。4つ目は、休暇に関する権利に触れないこと。有給休暇の取得を拒否するような行為があると、パワハラと判断されやすいという。

 では、これらの4つの行為を経験した医師はどれくらいいるのだろうか。日経メディカル Onlineでは2022年5月16日から5月22日にかけて、医師会員を対象にアンケートを実施。8763人から回答を得た。それによると、最も多かったのは「人格を否定するような言葉をかけられた」で2256人(複数回答、25.7%)。次いで、「指導や叱責の際、『物』に当たる行為を受けた」(1197人、13.7%)、「休暇取得の権利に関わる発言を受けた」(877人、10%)、「ミスの際などに『反省文』など内面に踏み込む文書を書かされた」(370人、4.2%)の順だった(図1)。

図1 「4つの行為」の経験の有無
 現在または過去の勤務先で、職場での優越的な関係を背景として、「人格を否定するような言葉をかけられる」「指導や叱責の際、物に当たられる」「反省文など内面に踏み込む文書を書かされる」「休暇取得の権利に関わる発言をされる」のいずれかを経験したことがあるかを尋ねた。(n=8763、複数回答)

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