2019年6月1日、癌に関連した複数の遺伝子変異を一度に検出できる「癌遺伝子パネル検査」が保険収載された(関連記事:がんゲノム医療で何が変わるのか?)。今回保険適用されたのは、シスメックスの「OncoGuide NCCオンコパネル」と中外製薬の「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」の2種類。どちらも検査実施料は8000点、検査判断・説明料は4万8000点だ。
ただし、対象となるのは標準治療のない固形癌患者や標準治療が終了(または終了見込み)となった固形癌患者に限られる。その上、検出された変異に対応する治療薬が見つかるのは、検査を受ける人の十数%であることが分かっている(関連記事:日本の癌ゲノム医療が招く「悪夢」、癌の遺伝子パネル検査って、保険で行う臨床研究ですよね?)。
保険収載を受け、癌の遺伝子を網羅的に調べて個別の患者に合わせた治療を行う「癌ゲノム医療」は普及するのか――。日経メディカル Onlineでは、医師会員を対象に「癌ゲノム医療への期待に関するアンケート」を実施。その結果、「普及が進むと思う」と答えたのは60.4%にとどまった。最も多い回答ではあるものの、対象患者の制限や必ずしも治療に結び付くわけではない点を懸念している医師も一定数いることが分かった。次に多かったのは「どちらともいえない」の37.2%。「むしろ阻害すると思う」と答えた医師も2.4%いた(図1)。
図1 「癌遺伝子パネル検査の保険収載によって、癌ゲノム医療は普及すると思いますか?」(n=4177)
