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医師3336人に聞く「医師臨床研修マッチング対策」
新専門医制度を見据えた「大学回帰」は起きた?

 10月19日、今年も2017年度の医師臨床研修マッチングの結果が公表された(2017年度マッチング最終結果)。マッチングに参加した医学生9969人に対し、1022病院の獲得競争が行われた。

 毎年、まず話題となるのは大学病院希望者数と臨床研修病院(市中病院)希望者数の割合だ。来年度から本格的に始まる新専門医制度を見据え、基幹研修施設になりやすい大学病院に初期研修から入るという医学生が多くなるという指摘もある。日経メディカルOnlineの医師会員を対象に10月2日から8日にかけて「医師臨床研修マッチング対策」の調査を行ったところ、「大学病院希望者が以前より増えているように思った」「研修制度が変わるから、大学病院に回帰している」という声も実際にはあった。

 しかし、2017年度マッチングの結果を見ると、市中病院にマッチした医学生は58.6%。2009年から拡大し続けている大学病院と市中病院の内定者数の差はさらに拡大した。初期研修先を選択していた2017年夏の時点では、新専門医制度が流動的だったこともあってか、大学病院回帰のような新たな動きは表出していないようだ。

都道府県別では新潟県や岩手県で内定者増
 調査では、「大都市圏に人気が集中している」「都市部に集中しないシステムでない限り、マッチング結果は意味がない」など、都市部偏重を訴える声も依然多かった。実は大都市を有する6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除く道県における内定者の割合は58.9%。これは、2004年の新医師臨床研修制度を導入して以降の最高値だ。厚生労働省としては研修医が特定の地域に集中することを避けるため、都道府県別の募集定員の上限を設けるなどの対策を打ってきた成果とみなしているが、まだまだ不十分と感じている現場は多そうだ。

 ちなみに都道府県別に対前年比で並べると、新潟県(内定者数129人、対前年度+31.6%)、岩手県(90人、+21.6%)、石川県(120人、+16.5%)、宮城県(144人、+15.2%)、和歌山県(110人、+15.8%)の順となっている。

医学生への呼びかけはWeb動画やSNSでも
 調査は医師臨床研修マッチングの中間結果が公表されたタイミングで実施したが、最終結果を前にしてマッチング担当者からは悲喜交々の声も聞かれた。「募集する側としては『何番目でもいいから名前を書いて』と土下座したい気分です」と必死になる担当者がいれば、「久々に県内トップとなり、努力が実ったと実感した」といった喜びの声もあった。

 一方で、「当院の研修はとてもいいのに、集まらないのはアピール下手としか言えない」「自分の病院は取り組みが不十分なため応募がとても少なかった。臨床研修プログラムの作成者ならびに責任者には反省をしてもらいたい」など、担当者の対策が不十分と考える声もあった。

 研修医を呼び込むための策には、各病院が工夫をこらす。「当院に興味のありそうな研修医をリストアップし、積極的に声をかける」「研修医たちがどう輝けるか、研修医自身にWeb動画などでPRしてもらう」、「説明会の交通費を出し、食事会を催す。見学後もこまめに連絡する」「やはりSNSなどでいかに情報発信するかにかかっている。公的病院だが当院は情報発信をまめにやっていて、いいと思う」などの対策が挙がった。

病院見学で実態を目の当たりにして回避する例も
 言うまでもなく研修医獲得の大きなポイントとなるのが、病院見学だ。ありのままを見せることを心掛ける担当者は多く、医学生に近い初期研修医や若手医師が対応したり、働く姿を見せたりすることで、より具体的なイメージを湧かせ、質問しやすい雰囲気も作り出しているようだ。「見学では研修医について回る方式が最も良かった。外来を見せられてもどうしようもない」(2015年入職)、「研修医がどのようなことをしているか、どのようなことをさせてもらえているかを見た」(2007年入職)といった声が挙がる。

 見学で見た病院の実態におののいてしまう医学生もいる。「一日中当たり散らしている人がいるところは避けました」(2006年入職)。「研修医が放っておかれている病院には幻滅した」(2008年入職)。「スタッフがうつっぽく、ナースとも確執があり、医師が死にそうな顔をして幽霊のように駆けずり回っている病院はやめた」(2002年入職)。

 見学や説明会などに来た学生の「接待」については、「病院見学に来た学生には飲めや歌えの歓待をしていたが、全く意味がないことに気づいた。最近は病院の特徴や研修体制を丁寧に説明する方が効果があった。最近の医学生は自分自身のQOLを考えているため、過度な接待は無意味」という意見もあり、賛否両論がある。

 もっとも、「飲み会の誘いすらないところは必要とされている感じがしなかった」(2011年入職)と感じる場合もある。希望者だけを「接待」する方がいいのか、担当者の迷いは尽きなさそうだ。

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