
図1 終末期患者への対応で迷ったことはありますか?
死を回避できない状態に陥った場合、限られた時間をどのように過ごすのが最善か――。患者の価値観は多種多様な上に、取り囲む状況も一人ひとり異なるため、そこに模範解答は存在しない。終末期患者への対応を考える際には、医学的適応だけでなく、患者本人の意向、家族の意向、介護状況など様々な観点からの議論が求められるケースが多い。
今回、日経メディカル Onlineの医師会員を対象に、終末期患者への対応で迷った経験があるかを尋ねたところ、「よくある」が21.2%、「たまにある」が46.9%と、実に7割の医師が終末期患者への対応に悩みを抱え、終末期患者への対応に迷った経験を持つことが分かった(図1)。
さらに、終末期患者への対応を巡って患者・家族とのトラブルになった経験があるかを聞いたところ、医師の14.1%が「ある」と回答した。
先ほどの問い(「終末期患者への対応で迷ったことはありますか?」)で「よくある」と回答した医師に限ると26.1%、「たまにある」と回答した医師では15.5%、「ほとんどない」は5.0%、「全くない」が1.6%という結果で、迷える医師ほどトラブルの経験割合が高い現実が垣間見られた(図2)。
具体的なトラブルとして最も多く挙げられたのが、「『遠い親戚』が突然現れ、状況を理解しないままいろいろ言ってくる」というもの。その他には、「回復の可能性がないことを理解していただけない」「状態の変化が速すぎて、家族が死を受容できない」「本人と家族の意向が食い違い、板ばさみになった」という回答もあった。