
ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳癌の初期治療は内分泌療法が基本であるが、再発リスクが中・高リスクの乳癌に対して、術後補助療法として内分泌療法にS-1を追加することの有用性が日本のフェーズ3試験POTENTで明らかになった。またCDK4/6阻害薬は手術可能な高リスクのluminal B乳癌の術前補助療法として、アロマターゼ阻害薬(AI)との併用で化学療法と同様の効果を示し、かつ転移・再発乳癌でも化学療法と同程度のパワーを持つことがわかってきた。
2019年12月に開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2019)で発表された臨床試験の結果を中心に、HR陽性乳癌に対する治療戦略と今後の展開について、兵庫医科大学外科学(乳腺・内分泌外科)教授の三好康雄氏に解説してもらった。