日経メディカルのロゴ画像

エリアレビュー◎日本臨床腫瘍学会2017・大腸癌
大腸癌1次治療に経口剤レジメンの選択肢が増える
王者FOLFOX+BmabにS-1+CPT-11+Bmabは非劣性を示す

2017/09/26
北海道大学病院腫瘍センター副センター長・化学療法部部長・診療教授 小松 嘉人 氏

 S-1+イリノテカン(IRIS / SIRB)+ベバシズマブ併用療法は、日本の大腸癌1次治療の標準的レジメンであるmFOLFOX6/CapeOX(XELOX)+ベバシズマブ併用療法に対して非劣性を示すことが、第III相試験TRICOLOREで明らかになりました。本試験のこの最初のデータは、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2017)で発表されました。

 これにより大腸癌1次治療に経口剤を使った治療選択肢が加わります。しかもVEGF阻害薬を用いたレジメンとしては、これまでで最も長いPFSが得られています。今後、術後補助療法の有無やRASステータス等によるサブグループ解析も予定していますので、より適した患者群がわかってくると思います。

TRICOLORE試験の狙い

 アメリカや日本では1次治療にオキサリプラチンを使う傾向が強かったのですが、オキサリプラチンは副作用として末梢神経障害があるため、患者さんのQOL低下につながりますし、治療を長期続けることができないということがありました。一方、イリノテカンを用いた治療はFIRE-3試験のように1次治療でも良好なデータが出ていますので、選択肢としてイリノテカンベースの治療、特に経口剤を使ったレジメンもあったほうがいいだろうと考えられました。

 従来の臨床試験であれば、S-1+イリノテカンと比較するのは、イリノテカンベースのFOLFIRIになると思います。しかしFIRIS試験で、2次治療ではありますが、IRISのFOLFIRIに対する非劣性は既に示されています。また、わたしたち研究グループの狙いはガイドラインに関わるような治療をつくることでしたので、現状で一番使われているオキサリプラチンベースの併用療法に勝たないと駄目だと考えました。そこで、FOLFIRIではなく、1次治療の王者であるFOLFOXとの比較試験を計画したわけです。

 最初は優越性試験として検討したのですが、第III相試験で勝つのは非常に大変なことです。例えば、胃癌においてS-1+イリノテカンとS-1単剤の1次治療を比較したTOP-002試験では、主要評価項目のOSは有意差がありませんでした。そのため本来胃癌に対して有効であるイリノテカンが、今やパクリタキセル+ラムシルマブも入ってきて、3次治療の薬になってしまいました。そういった経験がありますので、TRICOLORE試験ではまず非劣性を調べて、それがボジティブになったら、その後で優越性を調べるという2段階で行うことにしました。

 今回の試験では、症例登録の開始前に施設毎に対照群(mFOLFOX6+BmabまたはCapeOX+Bmab)および試験群(SIRBまたはIRIS/Bmab)の治療法を決定し、試験期間中は同一の治療法で実施するという形がとられました。これは京都大学医学統計生物情報学の森田智視先生の提案で、mFOLFOX6とCapeOX、SIRBとIRISのどちらもドクターズチョイスにしてしまうと、数的にばらつきが出てしまうため、4つのパターンを作り、それを参加施設で割り振ることになりました。

この記事を読んでいる人におすすめ