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エリアレビュー◎15th St. Gallen International Breast Cancer Conference・乳癌
いかに効果を損なわずに早期乳癌の治療を減らすか
日本で遅れを取る遺伝子解析に基づいた治療

2017/05/08
がん研有明病院乳腺センター長 大野 真司 氏

 15th St. Gallen International Breast Cancer Conferenceは、3月15日から18日までオーストリア・ウィーンで開催され、105カ国から約3000人が参加しました。最終日に行われたコンセンサスセッションでは、乳癌のエキスパート43人がパネリストとなり、早期乳癌患者に最適な治療を提供することを目指し、作成されたステートメントについて議論した後、ボーティングが行われました。

 トピックには、手術、放射線療法、術前および術後の薬物療法、遺伝学、予防まで広く含まれており、最終的なコンセンサスは今年の夏に論文として発表される予定です。

 今回の会議全体を通して、感じたことが2つあります。

 まず、毎回この会議では異なるキーワードが挙げられ、それを見れば何を言おうとしているのかがわかるようになっています。これまでにキーワードとなったのは「Personalized」「Threshold」「Subtype」などで、今回は「Escalation and De-escalation」とされました。これは、必要なら治療を「escalate」、不要なら「de-escalate」するという意味です。

 その背景として、乳癌で今必要とされている臨床研究のニーズについて世界の錚々たるメンバー14人が共著し、昨年11月に発表した論文があります。私もメンバーの1人に選んでいただいたのですが、論文では「効果を損なうことなく、治療をどのように減らすか」を今後取り組むべき最優先の課題であるとしています。

 もう1つは、日本人の参加者が著しく減少していることです。コンセンサスパネルの中で日本人は現在2人ですが、このまま参加者が減少すれば、今後はパネリストの数を減らされてしまう可能性もあり、危惧しています。

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