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レポート◎変わる消化器癌の腹腔鏡下手術
腹腔鏡下肝切除術が国内外で大きく進展、膵臓でも始動
上尾中央総合病院 肝胆膵疾患先進治療センター長・消化器外科科長 若林 剛 氏に聞く

2017/04/12
森下紀代美=医学ライター

 腹腔鏡下肝切除術が国内外で急速に進展している。きっかけとなったのは、2014年に岩手県盛岡市で開催された第2回腹腔鏡下肝切除術国際コンセンサス会議(ICCLLR2014)。この会議では、2014年8月までに発表された463の論文から、腹腔鏡下肝切除術が行われた計9527症例のデータをベースに検討が行われ、推奨文が作成された。

 患者の安全性を確保する観点から推奨されたのは次の3点。切除範囲が大きな肝切除(亜区域切除や1区域切除以上)では前向き全例登録を行うこと、Difficulty score(困難性スコア)を用いて術前に手術の難度を推定し各外科医の技術に合った患者選択を行うこと、術式の標準化と教育組織を構築すること――である。

 これを受けて日本では、日本肝胆膵外科学会による緊急実態調査やプロジェクト研究、NCD(National Clinical Database)データを用いた緊急調査や大規模症例研究などが開始され、適切に患者を選び、技術を持つ肝臓外科医が腹腔鏡下肝切除術を行えば、短期成績は開腹肝切除術よりも優れ、長期成績は劣らないことが明らかになった。

 そして2016年春の診療報酬改定では、亜区域切除、1区域切除(外側区域切除を除く)、2区域切除および3区域切除以上の腹腔鏡下肝切除術が、有効性と安全性などが確立している術式と評価され、新たに保険収載された。これにより、血行再建や胆道再建を伴わない腹腔鏡下肝切除術のすべてが保険を適用して行えるようになった。

 また海外でも、多くの肝臓外科医が腹腔鏡下肝切除術に高い関心を持つようになり、初のRCTの結果が発表され、腹腔鏡下肝切除術の普及と教育を促進するための組織が新設されるなど、新たな流れが起こっている。

 肝臓内視鏡外科研究会の代表世話人の一人で、ICCLLR2014では議長を務めた上尾中央総合病院肝胆膵疾患先進治療センター長・消化器外科科長の若林剛氏に、近年の腹腔鏡下肝切除術の領域における変化と今後の展望について聞いた。

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