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エリアレビュー◎日本血液学会2016・多発性骨髄腫
プロテアソーム阻害薬と免疫調節薬の使い分けは?
日本における骨髄腫治療のあり方を考える

2016/11/14
名古屋市立大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学分野教授 飯田真介 氏

 初発の多発性骨髄腫に対し、プロテアソーム阻害薬(PI)ボルテゾミブ、さらに昨年から免疫調節薬(IMiDs)レナリドミドが使えるようになり、これら2つの薬剤を使ったレジメンをいかに使い分けるかが課題となっている。また海外ではすでに3剤併用療法の議論が活発になっており、抗体薬を用いた併用療法にも期待がかかる。

 10月に横浜で開催された第78回日本血液学会学術集会ではシンポジウム「Initial treatment for multiple myeloma: proteasome inhibitor first or immunomodulatory drug first?」が開催され、国内外の演者5名が講演した。その内容を踏まえて、福岡大学の高松泰氏とともに座長を務めた飯田氏に多発性骨髄腫治療の最近の動向や問題点、今後の展望を伺った。

プロテアソーム阻害薬と免疫調整薬の利点と欠点

 プロテアソーム阻害薬はボルテゾミブのほか、カルフィルゾミブ(国内では再発または難治性の多発性骨髄腫治療薬として今年7月に承認)とixazomib(国内承認申請中)があります。プロテアソーム阻害薬のレジメンは、奏効までの期間が短く、深いレスポンスが得られるという特徴を持ちます。また染色体所見からハイリスク病型といわれるt(4;14)やt(14;16)、17p13欠失などを有する患者に対する効果が高く、生存も改善しています。

 シンポジウムでは、京都府立医科大学内科学 血液・腫瘍内科部門の黒田純也先生が、プロテアソーム阻害薬による初回治療について講演されました。その中で、プロテアソーム阻害薬の利点として、腎障害の改善を挙げていました。骨髄腫の合併症として、およそ2割の患者に腎障害が起こります。しかしプロテアソーム阻害薬によって腎障害の改善も非常に早く得られるため、腎障害のある人にはプロテアソーム阻害薬は第1選択薬と考えられます。

 また、どの程度寄与するかは分からないのですが、プロテアソーム阻害薬は骨芽細胞の成熟を促すため、骨病変の回復が早いことが期待されています。

 一方で、ボルテゾミブの毒性としては末梢神経障害がありますので、高齢者や手作業など細かい作業をする職種の人には使いづらい点もあります。

 このようにボルテゾミブには利点が多いため、初発例に対してはボルテゾミブを含むレジメンが主体になっています。

 それに対し、免疫調節薬のレナリドミドによるレジメンの良い点は患者さんにやさしいところです。レナリドミド自体の副作用は主に好中球減少で、それが強く出るのは一部の患者さんに限られるため、比較的使いやすく、臨床現場では高齢者を中心にレナリドミド+デキサメタゾンが使われています。染色体所見による標準リスク患者の場合、長期間にわたって効果が出ることが判明しており、内服薬であるレナリドミドは、高齢者に自宅で過ごしてもらうには、通院回数も非常に少なくてすむという利点があります。ただし、併用するデキサメタゾンの用量が多くなると、毒性が強くなってしまい、高血糖や高血圧、感染症、白内障が誘発されることが問題点です。

 デメリットとしては、日本人の3分の1くらいを占めるハイリスク患者に対する効果が不十分であることが、欧米のさまざまな試験ならびにわれわれの検討でも明らかになっています。

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