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エリアレビュー◎大腸癌
ベバシズマブからラムシルマブへのスイッチで期待される治療効果
2次治療で広がる治療選択肢

2016/09/28
国立がん研究センター東病院消化管内科長 吉野 孝之 氏

 進行大腸癌の治療として、日本ではRAS野生型、変異型に関わらず、1次治療ではFOLFOXまたはCapeOX(XELOX)とベバシズマブの併用、2次治療ではFOLFIRIとベバシズマブの併用が好んで選択されている状況があります。

 こうした状況の中、2016年5月、抗VEGFR-2抗体ラムシルマブは治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対する治療薬として、適応追加が承認されました。

 ラムシルマブの有効性を示した最も重要な試験がRAISE試験です。この試験は二重盲検、プラセボ対照のデザインで、1次治療でオキサリプラチンベースとベバシズマブの併用療法を受けた患者を対象とし、2次治療のレジメンはFOLFIRIに固定しています。米国、欧州、日本を含むアジアで厳格に行われた試験であり、堅実なデータが得られたことは称賛に値します。

 2次治療の選択肢の1つとして、ラムシルマブはすべての患者さんに説明すべき薬剤であると思います。副作用も、実地臨床で使用されるFOLFIRIの用量から、臨床試験の結果よりも軽いと考えられます。ただし、現時点ではラムシルマブとベバシズマブの使い分けはできません。選択肢を提示し、患者さんが選んだ治療を行うことになります。現状では、1次治療で使用したベバシズマブからスイッチする形で使うことが勧められると思います。

 新しい薬剤は、実地臨床で使ってみて初めて等身大の姿がわかるものです。想像以上に高い効果や、予想もしなかった副作用が見つかることもあります。ラムシルマブはベバシズマブよりも高価であるという問題はありますが、ラムシルマブが最適な治療として当てはまる患者さんを探すためにも、投与してみるべきだと思います。

ベバシズマブ継続投与の根拠となったML18147試験

 ベバシズマブ継続投与の根拠となったのはML18147試験です。この試験は当初ドイツの研究者主導の臨床試験として開始され、その後企業主導の臨床試験として続行されることとなり、米食品医薬品局(FDA)の承認試験として行われました。日本は参加していません。

 試験の対象は、1次治療として、ベバシズマブとの併用でオキサリプラチンまたはイリノテカンをベースとする化学療法を行い、1次治療施行中または施行後に増悪した患者です。ベバシズマブと標準的な2次治療を併用する群、または標準的な2次治療のみを行う群のいずれかに、患者を非盲検で無作為に割り付けています。主要評価項目は全生存期間(OS)でした。

 その結果、OS中央値はベバシズマブ+化学療法群で11.2カ月、化学療法群9.8カ月、ハザード比0.81、p=0.0062となり、ベバシズマブの追加による有意な予後の改善が示されました(図1)。

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