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エリアレビュー◎ASCO2016・大腸癌
Stage II大腸癌における術後補助化学療法の上乗せ効果、示せず
手術単独群でも5年時RFS 85%、OS 94%と予後良好

2016/07/08
東京医科歯科大学大学院応用腫瘍学講座准教授 石黒 めぐみ 氏

 Stage II大腸癌では、一部の欧米の臨床試験やメタアナリシスで、経口フッ化ピリミジン製剤による予後改善効果はあるとされたものの、術後補助化学療法が必要なのか、有用性が得られるのか、これまではっきりした結論は得られていませんでした。

 そこで私たちのグループでは、きちんとした無作為化比較試験でStage II大腸癌に対する術後補助化学療法の有用性を評価することを目的に、SACURA試験を開始しました。この試験は、日本人のStage II大腸癌患者を対象に、テガフール-ウラシル(UFT)を術後1年間投与する群と手術単独群とを比較した、大規模な第III相試験です。

 今回の米国臨床腫瘍学会(ASCO2016)において、防衛医科大学校の梶原由規先生によって本試験の主たる解析結果が発表されました(Kajiwara Y. et al. ASCO2016 Abstract No.3617)。術後1年間のUFTの投与は、主要評価項目である無病生存期間(DFS)において、手術単独群に比べ優越性を示すことができませんでした。

 この結果から、現段階では、Stage II大腸癌に対し、全例に一律に術後のUFT補助化学療法を行うのは適切ではないというのが今回の本試験の結論になります。しかし、これから様々なサブ解析を進めていく中で、ある臨床病理学的因子を有する症例に限定すれば、補助化学療法の上乗せ効果がみられる可能性があり、Stage II大腸癌の治療の個別化に貢献するデータが提供できるのではないかと思っています。

 また、Stage II大腸癌の大規模な予後データとしては「大腸癌治療ガイドライン」に掲載されている大腸癌研究会全国登録のデータがありますが、かなり前のもの(2000~2004年手術症例)です。本試験では、日本のStage II大腸癌の手術単独例における前向きな長期予後をお示ししていますので、疫学的な意義も大きいと言えます。

一般病院が多数参加し実地臨床に近いデータに

 SACURA試験は2006年10月に登録を開始し、全国から270施設が参加しています。JCOGなどのがん専門病院を中心に行う試験とは異なり、一般病院が多く含まれ、実地臨床にきわめて近いデータであることが特徴です。

 対象は、Stage II大腸癌に対し治癒切除が行われ、20-80歳、ECOG PS 0-1などの条件を満たす患者で、手術のみを行う群(手術単独群)、または術後補助化学療法としてUFTを投与する群(UFT群)に無作為に割り付けました。UFT群では、UFTを1日500-600mg(テガフールとして)、2回に分けて5日間投与し、2日間休薬するスケジュールで、1年間繰り返します。主要評価項目はDFS、副次的評価項目は全生存期間(OS)、無再発生存期間(RFS)、有害事象です(図1)。

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