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化学療法では新規治療薬が登場、推奨度の定義が一部変更に
第5版に向け改訂進む胃癌治療ガイドライン【胃癌学会2016】

2016/04/08
森下紀代美=医学ライター

愛知県がんセンター中央病院 薬物療法部部長・外来化学療法センター長の室 圭 氏

 胃癌治療ガイドラインは、第5版に向けて、現在改訂作業が進められている。第88回日本胃癌学会総会のプレナリーセッション「胃癌取扱い規約15版・治療ガイドライン5版に向けて」では、改訂の途中経過が報告され、会場の参加者と意見交換が行われた。

 そのうち化学療法については、平成26年度ガイドライン作成委員会の内科のメンバーである愛知県がんセンター中央病院薬物療法部部長・外来化学療法センター長の室 圭氏が、改訂のポイントと課題について解説した。

推奨度に関する記載が一部変更に

 「胃癌治療ガイドライン 2014年5月改訂 第4版」には、「治療の適応についての目安を提供するものであり、ガイドラインに記載した適応となる治療法を施行することを規制するものではない」と明記されている。しかし、室氏は現状について、「金科玉条のごとくまるで法律のように扱われたり、その一方で、ガイドラインに記載されたレジメンをただなぞるだけの通り一遍の治療が行われたりしていることが少なくない」と指摘した。

 2001年の初版以来、同ガイドラインでは教科書形式を採用しており、クリニカル・クエスチョン(CQ)形式の他の多くのガイドラインと大きく異なる点である。ただし、化学療法については、「わが国独自のランダム化試験や、わが国が参加したグローバル試験によるレベルの高いエビデンスが生まれてきており、本ガイドラインにおいてはこれらを厳密に吟味し、英文論文化されて一定の評価とコンセンサスが確立したものを推奨治療とする」とされている。

 治療レジメンの推奨度は、エビデンスレベルに基づき、最終的にはガイドライン作成委員によるコンセンサスによって決定されている。推奨度1は「推奨されるレジメン」で、第III相試験で検証され、国内でも十分なデータがあり、コンセンサスが得られたもの。推奨度2は「選択可能なレジメン」で、第III相試験で検証されたが、推奨度1とするには十分なコンセンサスが得られていないもの、または第II相試験でコンセンサスが得られたもの。推奨度3は「推奨されないレジメン」である。

 推奨度に関するこれらの記載は、日本胃癌学会がラムシルマブに関するWeb版の速報を発表するにあたり、一部変更された。推奨度1の「推奨されるレジメン」では「最も適切なレジメン」として、推奨度2の「選択可能なレジメン」では「適切なレジメン」として、それぞれ「コンセンサスが得られた」とする言葉が加えられた。

1次治療に加わったオキサリプラチンのエビデンス

 現在の胃癌治療ガイドラインでは、進行胃癌に対する1次治療はHER2陰性と陽性に分けて行い、2次治療はHER2の状態に関わらず治療を行うアルゴリズムが示されている。

 2015年には、新たなエビデンスに基づき、新規治療薬が承認に至った。その1つがオキサリプラチンで、エビデンスは、1次治療としてSOX療法(S-1+オキサリプラチン)とSP療法(S-1+シスプラチン)を比較した第III相のG-SOX試験だった。オキサリプラチンは100mg/m2が3週毎に投与された。同試験の目的は、SOX療法のSP療法に対する非劣性を検証することで、主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)だった(Y. Yamada, et al. Annals of Oncology 26; 141-48, 2015)。

 PFS中央値は、SOX療法群5.5カ月、SP療法群5.4カ月で、ハザード比は1.004(95%信頼区間:0.840-1.199)となり、95%信頼区間の上限は非劣性マージンの1.30を下回り、非劣性が証明された。しかし、OSのハザード比では、95%信頼区間の上限が非劣性マージンの1.15を超え、非劣性を証明することはできなかった(図1)。

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