日経メディカルのロゴ画像

免疫チェックポイント阻害薬は何十年も待ちわびた膀胱癌の新規薬剤
抗PD-L1抗体で尿路上皮癌の生存改善も期待

2016/04/04
新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学分野/新潟大学医学部泌尿器科学講座 教授 冨田善彦 氏

 泌尿器領域において、免疫チェックポイント阻害薬の有用性が次々に示されています。腎細胞癌を対象とした第III相試験では良好な結果が得られました。尿路上皮癌でも抗PD-L1抗体であるavelumabとatezolizumabは非常に有望であることが、今年のASCO Geneitourinary Cancers Symposium(ASCO GU2016)で報告されています。その一方で、抗CTLA-4抗体のイピリムマブと化学療法を併用した試験ではネガティブな結果になりました。

 これまで尿路上皮癌の治療には、シスプラチンやゲムシタビン、タキサン系製剤を使ってきましたが、効果は限定的であり、ここ30年近く、尿路上皮癌の予後は改善していません。そういった状況の中で、免疫チェックポイント阻害薬は何十年も待ちわびた新規薬剤であり、これが使えるようになれば本当にありがたいと思います。非常に期待しています。

尿路上皮癌に免疫チェックポイント阻害薬が効く理由

 膀胱癌の治療の1つとしてBCG療法が行われていますが、なぜ免疫療法が膀胱癌に効くのかとよく聞かれます。最大の理由は、膀胱癌がダーティキャンサーであるということでしょう。癌の全ゲノム関連解析(GWAS)で、遺伝子変異が最も多いのはメラノーマであり、膀胱癌も上位に入っていました。遺伝子変異が多いということは、neo antigenの供給源だということです。そう考えますと、膀胱癌に対して免疫チェックポイント阻害薬を使うことは非常に有利かと思われます。

 歴史的に膀胱癌に対して、ウシ型の結核菌を用いた生ワクチンであるBCGを入れると、癌が消えることがあったわけです。そこには炎症作用など、いろいろな機序があったと考えられますが、BCGが引き金となり、局所で膀胱癌を排除するような免疫システムが動いていたと推測されます。ですから膀胱癌には、そういった歴史的な状況証拠と先述の変異の多様性、つまり数多いであろうneo antigenの存在がバックグラウンドにあると考えています。

自己免疫疾患様の有害事象にはステロイドを用いた管理を

 個々の薬剤に関してですが、ターゲットとしているメカニズムはほぼ同じで、薬剤の効果についてはこれからさらに検証が進んでいくと思います。ただ開発治験での有害事象(AE)報告などを詳しく見ていますと、薬剤によってAEのプロファイルが微妙に違うところがあります。

 免疫チェックポイント阻害薬は、イピリムマブは別として、既存の殺細胞性薬剤あるいはEGFR阻害薬、プロテアソーム阻害薬のボルテゾミブ、mTOR阻害薬のテムシロリムス、エベロリムスといったものと比較して、グレード3/4のAEは少ない印象です。しかし毒性はやはり発現し、特に自己免疫疾患様の有害事象が多く認められます。臨床試験や薬剤にもよりますが、30%の患者でステロイドを使ったという報告もありますので、免疫チェックポイント阻害薬による自己免疫疾患様の有害事象には、ステロイドを用いたAE管理が必須だろうと思います。

 泌尿器科領域においては、すでに腎移植の経験がありますので、ステロイドを使った副作用管理は慣れていますし、そもそも免疫抑制の理解もありますので、免疫チェックポイント阻害薬による治療に有利かと思います。

 ただ、ニボルマブの副作用として劇症1型糖尿病の注意喚起がなされていることからも、他診療科との連携は必要です。免疫チェックポイント阻害薬は、自己免疫疾患が診られる内科や皮膚科など、スタッフが揃ったところで使ったほうがいいでしょう。

この記事を読んでいる人におすすめ