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エリアレビュー・消化器癌
消化器癌治療の開発ターゲットはdriver geneからホストの免疫抑制系へ【ESMO ASIA 2015】
免疫療法薬と血管新生阻害薬、幹細胞標的薬との併用も計画

2016/01/27
国立がん研究センター東病院 先端医療開発センター長 大津敦 氏

 今年初めて、ESMO ASIA 2015がシンガポールで開催されました。その中で特別シンポジウム「Translating emerging therapeutics into clinical use」が開かれ、当日は5人の演者が免疫とゲノムに焦点をあてた講演や、血管新生阻害、癌幹細胞に関する最先端の研究を紹介しました。
 
 このシンポジウムは先端的なトピックスを紹介してもらおうと1年前に企画したものですが、当時想定していた以上に、この1年間の研究開発のスピードが速いことを実感しました。driver geneの研究が中心だった時代から、免疫チェックポイント阻害薬の進展に伴い、ホスト側の免疫系に目を向けるようになっています。

 将来の方向性としては、免疫療法薬同士の併用、血管新生阻害薬との併用、さらに幹細胞を標的とした薬剤、例えばSTAT3に対するBBI608と免疫チェックポイント阻害薬の併用も計画されています。

消化管癌における免疫療法薬の開発

 最初に登壇したベルギーUniversit`e catholique de LouvainのBenoit Van Den Eynde先生は、消化管癌における免疫系について、基礎的な研究をベースに講演しました。

 ミスマッチ修復機構(MMR)欠損の癌では体細胞変異が多く、抗PD-1抗体Pembrolizumabによって高い効果が得られることが報告されています(図1)。MMR欠損はマイクロサテライト不安定性(MSI)を引き起こしますから、MSIが高頻度(MSI-high)の患者では抗PD-1抗体の効果が高い傾向があるといえます。

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