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エリアレビュー・腎細胞癌
早期の腫瘍縮小は予後と関連【ECC2015】
近畿大学医学部泌尿器科講師 野澤昌弘氏

2015/12/14

 腎細胞癌において、数年前から、腫瘍の縮小が予後と関連するのではないかと言われていました。今年のEuropean Cancer Congress(ECC2015)では、転移を有する腎細胞癌を対象とした複数の臨床試験データを解析した結果、早期の腫瘍縮小(early tumor shrinkage)が予後と関連することが明らかになりました。

 実際にわれわれも日常診療で、治療早期に腫瘍が縮小した患者さんは予後も良好であるという印象を持っていましたので、この結果は非常に理解しやすいものでした。これが日常診療に直結して役立つツールになるかどうかはさらに検討が必要ですが、少なくとも、今後の前向きあるいは後向きの臨床試験の1つのエンドポイントとして加えてもいいのではないかと思います。

早期腫瘍縮小が得られた患者の特徴

 今回の解析は、転移を有する腎細胞癌に対し、スニチニブ、アキシチニブ、ソラフェニブ、インターフェロン(IFN)-α、テムシロリムスを投与した臨床試験のデータを用いています。具体的には、1次治療の7試験(NCT00267748、NCT00338884、NCT00835978、NCT00065468、NCT00083889、NCT00631371、NCT00920816)と、2次治療の6試験(NCT00077974、NCT00137423、NCT00054886、NCT00678392、NCT00474786、NCT00920816)です。いずれもPfizer社が実施した臨床試験です。

 解析対象は合計で4334人、このうち1992人(45.9%)で早期腫瘍縮小(eTS)が認められました。eTS は、治療開始後の最初の画像評価で、標的病変の最長径の和がベースライン時よりも10%以上縮小した場合と定義しています。

 内訳を治療の種類別に見ますと、VEGF標的療法の場合、eTSがYesとNoの患者数には大きな違いがありません(図1)。テムシロリムスもYesとNoがほぼ半々です。それに対し、IFN-αではYesが79人に対し、Noが407人と、Noが圧倒的に多いのです。既報でも、IFN治療をRECIST基準で評価すると奏効率は10〜15%ですので、それとほぼ同程度の結果かと思われます。つまり腫瘍を縮小する効果は、IFN-αよりもVEGF 標的療法あるいはテムシロリムスのほうが優れていることが確認できました。

 ただし、VEGF標的療法とテムシロリムスでは対象となる患者さんが異なっている可能性があります。テムシロリムスの試験は基本的にはpoor riskの患者さんが中心ですから、患者背景が異なることは念頭に置くべきでしょう。

 治療ライン別に見ますと、1次治療ではeTSがYesとNoの患者数はほぼ同じですが、2次治療では早期腫瘍縮小を示す人は過半数を満たしていません。2次治療では腫瘍が縮小しにくい傾向がわかります。

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