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エリアレビュー【AACR-NCI-EORTC】
免疫チェックポイント阻害薬同士の併用が次のトレンド
神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科学 / 神戸大学医学部附属病院 腫瘍・血液内科 教授 南博信氏

2015/12/10

 11月5日から9日まで米国ボストンでAACR-NCI-EORTC International Conference on Molecular Targets and Cancer Therapeutics(以下、AACR-NCI-EORTC)が開催されました。この学会は、近い将来臨床応用が可能となる新たな抗癌剤をいち早く知る上で非常に重要な学会です。今年の学会は全体として、免疫チェックポイントに関する演題が多く、時代の潮流を反映していると感じました。

 また学会のフォーマットが大きく変更されていたのは印象的でした。プレナリーセッションはレビュー講演が中心となり、新しい研究発表はその中に紛れ込んでいる形でした。応募演題から選ばれたものの一部はSpotlight on profound paperとして口演されましたが、他はほとんどはポスター発表でした。

 プログラムの構成にも変化がみられます。以前はナチュラルプロダクトに関して大きなセッションが設けられ、アルキル化薬など作用機序ごとのセッションに分かれていましたが、最近ではターゲット別のセッションになっています。こうしたプログラムの組み方の変化も、最近の癌研究の流れを反映したものと言えます。

免疫チェックポイントに話題が集中
 
 癌領域において免疫チェックポイント阻害の臨床的有用性を最初に示したのは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)で2010年に発表されたイピリムマブの第III相試験が最初でした。転移性悪性黒色腫患者を対象に2次治療として、イピリムマブとペプチドワクチンgp100を比較した試験です。その年の日本臨床腫瘍学会主催の「Best of ASCO in Japan」では、私がプログラム委員長でしたので、“The Best of the Best of ASCO in Japan 2010”としてイピリムマブの比較試験を紹介したのですが、悪性黒色腫が対象だったこともあってか、日本の先生方からの反響はあまりなく、日米の腫瘍内科学の成熟度の違いを感じさせられました。

 翌年には、1次治療としてイピリムマブとダカルバジンを比較する第III相試験が発表され、これもその年の“The Best of the Best of ASCO in Japan 2011”としたのですが、やはり国内での関心は低かったです。ところが肺癌に対して有効性のデータが出だしてからは、日本でも一気に免疫チェックポイント阻害薬に注目が集まってきました。5年前とは様子が大きく変化しました。

 今年のAACR-NCI-EORTCも免疫チェックポイント阻害薬を中心として、免疫療法に関するプレナリーセッションや教育講演が数多く企画されていました。口演やポスター発表でも、抗PD-1/抗PD-L1抗体をはじめとする免疫チェックポイント阻害薬について、作用機序や耐性機序、併用療法に関する研究発表が並んでいました。

 その中で私が注目したのは、インドのベンチャー企業であるAurigene Discovery Technologies社が発表した経口の低分子免疫チェックポイント阻害薬です(Abstract No. A96)。基礎研究に関するポスター発表でしたが、低分子化合物であり新規性があります。PD-L1経路を阻害する薬剤で、米国でフェーズ1試験を始めるとのことです。

 また免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬との併用療法や、免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法のデータも報告されていました。すでに悪性黒色腫では、抗CTLA-4抗体イピリムマブと抗PD-1抗体ニボルマブの併用療法の有用性が報告されています。そのため今後も抗PD-1抗体を中心に、LAG-3やTIM-3といった新しい免疫チェックポイント阻害薬との併用療法が注目されると思います。

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