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リポート◎「薄めた消毒液」で腫瘍を再酸素化、国内開発は一度頓挫も…
英国から逆輸入!? 常識覆す放射線増感剤

 英王立マーズデン病院で2019年に終了した第1相臨床試験。ここで、放射線治療の常識を覆しかねない結果が得られた。

 概要はこうだ。腫瘍径が30~164mm(T2が5人、T4が7人)の局所進行・再発乳癌患者12人に対し、リニアックを用いて約3週間の放射線治療を行った(2.75Gy×18回照射と6Gy×6回照射が6例ずつ、治療前に1人脱落)。照射2週目からは放射線増感剤のKORTUCを週2回、超音波ガイド下で腫瘍に局注。その結果、12人全てにおいて腫瘍が50%以上縮小、半数は90%以上縮小し、1年後のフォローでも腫瘍の増大は認められなかった。一次エンドポイントとなる副作用は注射後の軽い痛み程度で、高い忍容性も確かめられた(Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2020;108:1019-29.)。

 KORTUCは2020年から、英国癌研究所の主導で184例を対象にした第2相臨床試験が行われている。標準的な放射線治療とKORTUCを併用した放射線治療に無作為に割り付け治療効果を比較するという、実質、第3相も兼ねたトライアルで、既に4カ所の施設で実施中。夏からはインドの医療機関でも症例を登録する予定だ。計画上の登録終了日は2023年6月30日だが、中間解析の時点で有効性が認められれば前倒しで治験終了となり、早ければ2023年中にも英国で承認される可能性がある。英国癌研究所は2021年3月にも「KORTUCの有効性が証明されれば、世界中の何百万人もの患者の放射線治療を改善する可能性がある」とコメントし、結果に期待を寄せている。

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