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インタビュー◎相模原市認知症疾患医療センター長の大石智氏に聞く
副作用は気付かれにくく認知症症状と誤解させる

相模原市認知症疾患医療センターの大石智氏

 認知症のある人に生じる処方カスケード例は、センター発足以降の10年間、毎年確認されている──。北里大学病院が委託を受け運営する相模原市認知症疾患医療センター長を務める大石智氏は、同センターへの相談事例の1割近くが処方カスケード関連ではないかと見る。「認知症関連薬の副作用は気付かれにくく、認知症症状と誤解されがち」と話す大石氏は、処方カスケードを防ぐには「認知症のある人に生じる変化への理解を深めることが欠かせない」と強調する(本文敬称略)。

── 相模原市認知症疾患医療センターへの相談や受診において、処方カスケード(服用している薬による有害な反応が新たな病状と誤認され、それに対して新たな処方が生まれる状態)に関連する事例は増えているのでしょうか。

大石 増えているというより、常にあるという印象です。2012年にセンターが発足してから10年たちますが、ある一定数が存在し続けていると思います。

── 例えば、相談事例のどれくらいを占めていますか。

大石 毎年、1割近くはあるのではないでしょうか。

── センター発足以降では、例えば日本老年医学会が「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」(2005年の改訂版)を発表し、厚生労働省も「高齢者の医薬品適正使用の指針」(2018年に総論編、2019年に各論編)を公表するなど、特にポリファーマシー(複数の薬が処方され、服用している人に不利益が生じる可能性のある状況)に着目した啓発活動が行われてきました。処方カスケードはポリファーマシーが生じる過程の一つですが、それが存在し続けていることをどのように受け止めますか。


大石 まだ、医療の現場に十分に浸透し切れていないのだと思います。ポリファーマシーが生じる過程には、新たな症状が生じるたびに新たな医療機関を受診し、その都度、新たな薬が処方されていくというパターンがあります。もう一つが処方カスケードですが、処方カスケードは1つの医療機関、1人の医師の処方によっても生じるという特徴があります。処方カスケードは、服用している薬による有害な反応を新たな病状と誤認するところから始まりますから、それを防ぐには医師が「有害な反応」に気付けるかどうかにかかっているのです。

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