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寄稿◎新型コロナワクチンの副反応を考える
副反応疑いは全例が偏りなく報告されているか?

徳田均氏◎1973年東京大卒。癌研究会付属病院(現、がん研有明病院)、結核予防会結核研究所付属病院(現、複十字病院)などを経て、1991年より社会保険中央総合病院(現、JCHO東京山手メディカルセンター)呼吸器内科部長。現在も非常勤ながら臨床の最前線に立ち続けている。

 昨年春より、世界、そしてわが国で、新しく開発された新型コロナワクチン(国内では主にmRNAワクチン)の広範な接種が行われ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化抑制に大きく貢献したことは誰しもが認める事実である。しかしその一方で低率とはいえさまざまな副反応や有害事象が発生しており、中には重篤あるいは致死的なものもあるようだ。COVID-19による致死率が大きく低下した今、これら副反応にもしっかり目を向ける時が来ていると考えるが、それら負の側面についての議論は医療界でも乏しい。

 私は医師として日常、様々な慢性呼吸器疾患を診療しているが、この数カ月間でmRNAワクチン接種後短時日のうちに原疾患の急性増悪を来し、入院加療が必要であった患者を4例経験した。この経験を出発点に、ワクチンの副反応は実は公表されている以上に広範囲に起こっているのではないかと考え、今回各種の資料、そして議論に当たってみた。

 一般にワクチン接種は、免疫反応を誘導し、感染症に対する免疫を付与すること目的とするため、接種後、局所あるいは全身の免疫反応が誘発され、様々な副反応が生じ得る。日本感染症学会の学会誌に掲載されている中山哲夫氏の総説は全体像を理解するのに好適である。

 新型コロナに対するmRNAワクチンもその例外ではないようで、接種後局所に生ずる疼痛、腫脹など、全身に生じる発熱や倦怠感、加えて頭痛などが少なからぬ頻度で発生することが知られる。

 このようにmRNAワクチンは免疫の強い反応を惹起し得るので、その接種後、慢性疾患(その多くは宿主免疫の微妙なバランスの上になり立っている)に急性悪化が起こっても何ら不思議ではないし、さらに拡大して考えると、一見正常に営まれている健常人の生命活動(そこにも免疫の微妙な働きがその安定を支えていることは、最近の免疫学が明らかにしつつある)においても、何らかの急激な異常が起こることは十分に予想される。

 自分の経験を出発点に、現在、新型コロナワクチン接種後の副反応について、およそどれくらいのことが分かっているのか、どう議論されているのかを、最近の厚生労働省などの公的資料、学会ガイドラインなどを主な材料として考えたので、以下私見を述べる。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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