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NEJM誌から
BNT162b2のブースター接種はオミクロン株にも役立つか?
3回目接種で中和抗体価は上がるが、デルタ株の4分の1程度

 イスラエル保健省のItal Nemet氏らは、Pfizer/BioNTech社のBNT162b2ワクチン2回接種者と3回接種者各20人の血液標本を採取して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の野生株、ベータ株、デルタ株、オミクロン株に対する中和抗体価を評価するin vitroの小規模研究を行い、3回目接種によりどの株に対しても2回接種者より抗体価は増強するが、野生株やデルタ株に比べオミクロン株は中和抗体価が上がりにくかったと報告した。結果はCorrespondenceとして2021年12月29日のNEJM誌電子版に掲載された。

 2021年11月26日に世界保健機関(WHO)が、懸念される変異株(VOC)に指定したSARS-CoV-2オミクロン株(B.1.1.529系統)の感染は、急速に世界各国に広がった。オミクロン株に対するワクチンの有効性はまだ不明だ。そこで著者らは、BNT162b2ワクチンの2回接種者と3回接種者の血清標本を用いて、オミクロン株を感染させた培養細胞(比較のために野生株、ベータ株、デルタ株も)に対する中和効果を測定することにした。

 血液標本は、イスラエルの医療従事者の中からワクチンの2回接種を完了した20人と、ブースター接種を受けた20人から採血した。2回接種群の年齢は24~74歳(中央値54.7歳)で、6人が男性14人が女性だった。2回目接種から採血までの期間は平均値で165.6日だった。3回接種群の年齢は24~56歳(中央値38.7歳)で、19人が女性で男性は1人だった。3回目接種から採血までの平均値は25日だった。試験に用いたのは、野生株、ベータ株(B.1.351)、デルタ株(B.1.617.2)、オミクロン株だ。これらを感染させたVERO-E6細胞を用いて中和活性を比較した。

 野生株、ベータ株、デルタ株、オミクロン株に対する血清中和抗体価の幾何平均値は、2回接種群ではそれぞれ、16.56、1.27、8.00、1.11だった。それが3回接種群では、891.4、152.2、430.5、107.6になっていた。どちらの群でも野生株に対する抗体価が最も高く、変異株に対する中和抗体価は有意に低かった。

 3回接種者の中和抗体価は、どの株に対しても2回接種者より明らかに高くなっていたが、オミクロン株ではブースター接種による増強効果が低く、野生株の場合に比べると8分の1程度で、デルタ株と比較しても4分の1程度にしか増えなかった。また3回目接種の効果がどのくらいの期間続くのかも今後調べる必要があると著者らは述べている。

 原題は「Third BNT162b2 Vaccination Neutralization of SARS-CoV-2 Omicron Infection」、概要はNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。

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シリーズ◎新興感染症
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