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BMJ誌から
入院患者と外来患者でCOVID-19の後遺症に違いはあるか?
ワクチン接種後は後遺症も減少する傾向

 英国Imperial College LondonのHannah R Whittaker氏らは、イングランドの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者と入院せずに済んだ患者を最長で9.2カ月追跡し、後遺症に違いがあるかを調べるために、回復後の一般開業医(GP)受診情報を調べ、入院した患者の方が後遺症による受診率が高く、多くの症状や疾患は経時的に軽快化するが、不安や抑うつは持続する傾向を示したと報告した。結果は2021年12月29日のBMJ誌電子版に掲載された。

 COVID-19を発症した患者は、急性期の症状が治まった後に、さまざまな後遺症に悩まされる可能性がある。これまで、後遺症に関する研究は主に、COVID-19で入院した患者を対象にしていたが、COVID-19を発症した患者のおおよそ8割は軽症だ。そこで著者らは、入院せずに済んだ患者も含めて、COVID-19後の患者に現れる多様な症状や疾患について分析するために、イングランドで住民ベースのコホート研究を計画した。

 比較のための対照群として、パンデミック期間のCOVID-19ではない患者の受診動向や、パンデミック前のインフルエンザ患者の受診動向についても調べることにした。また、COVID-19による後遺症は、ワクチンを受ける前に感染した患者と、ワクチン接種後に感染した患者で違いが見られるかも検討することにした。

 使用したのは、英国のプライマリ・ケア診療データを匿名化しているClinical Practice Research Datalink(CPRD)Aurumデータベースで、症状、診断、処方、検査結果、ワクチン接種、GP受診、専門医への紹介、入院などの記録があり、イングランドの人口の約23%をカバーしている。

 まず入院の有無による違いを比較するため、2つののCOVID-19患者コホートを作成した。対象は、2020年8月1日から2021年2月14日までに検査陽性でCOVID-19と診断された18歳以上の患者。診断を受けた日をindex dateとし、この日から2週間以内に入院記録があった患者を入院コホートに組み入れ、入院していなかった患者を地域コホートに組み入れた。後遺症を調べるための追跡は、終了予定日(2021年5月9日)、患者の移住、死亡、COVID-19ワクチン接種のいずれかまでとした。

 比較のための陰性コホートは、2020年8月1日から2021年2月14日までに、COVID-19を疑う症状があったか、COVID-19患者の接触者になったためにGPを受診したが、検査結果は陰性だった人を組み入れた。GPの受診日をindex dateとし、それ以前にCOVID-19の診断を受けたことがある患者は除外した。また、COVID-19による後遺症の特徴を比較するために、インフルエンザコホートも設けた。こちらは対象期間(2020年8月1日から2021年2月14日)よりも前にインフルエンザの診断を受けたが、入院はしなかった患者を対象にした。

 さらにCOVID-19の後遺症とワクチン接種の関係を検討するために、ワクチンコホートも設けた。こちらは、既にCOVID-19の診断を受けたことがあるが、入院はしなかった患者が対象で、英国で使用された3種類のワクチン(Pfizer-BioNTech社、Moderna社、AstraZeneca社)の初回接種を受けた日をindex dateとし、他のコホートの同様に後遺症イベントを追跡した。

 追跡期間中に評価した症状は、息切れ、咳、胸部圧迫感、胸痛、動悸、腹痛、食欲不振、吐き気、下痢、関節痛、筋痛、皮疹、頭痛、ふらつき、不眠、認知機能障害、せん妄、感覚障害、耳鳴り、耳痛、咽頭痛、味覚や嗅覚異常、疲労、発熱、疼痛とした。感染症以外の各種疾患も評価し、GPによる薬剤の処方(気管支拡張薬や吸入ステロイド、アセトアミノフェン、NSAIDs、オピオイド、神経因性疼痛治療薬など)、医療の利用状況(GP受診、救急受診、入院、外来予約など)も調べた。このうち、COVID-19の診断から4週後以降にあらたに報告された症状や疾患を後遺症と考え、COVID-19発症前の1カ月間に既に存在したものは後遺症の分析から除外した。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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