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Lancet誌から
リバーロキサバンはCOVID-19患者の退院後VTEを減らす
ブラジルで行われた血栓症リスクが高い患者の臨床試験

 ブラジルScience Valley Research InstituteのEduardo Ramacciotti氏らは、血栓症のリスクが高いと考えられる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の退院後に、リバーロキサバンを35日間投与する臨床試験を行い、抗凝固薬を使用しなかった対照群に比べて、静脈血栓塞栓症(VTE)を起こすリスクが67%低下していたと報告した。結果は2021年12月15日のLancet誌電子版に掲載された。

 COVID-19で入院した患者は、退院後も通常よりVTEリスクが高い状態にあると考えられている。患者の入院中は抗凝固薬の予防的投与が推奨されているが、退院後も血栓を予防するための薬物療法を実施すべきかについてはコンセンサスがなかった。そこで著者らは、COVID-19入院患者の退院後にリバーロキサバンを投与することで血栓イベントを減らし、アウトカムを改善できるという仮説を検証することにした。

 MICHELLEと名付けられたオープンラベル(割り付けを知らないのは評価者のみ)の臨床試験にはブラジルの14施設が参加した。組み入れ対象は、PCR検査、抗原検査、またはIgM抗体検査で感染が確認されたCOVID-19患者で、少なくとも3日以上入院した人。患者のVTEリスクは、International Medical Prevention Registry on Venous Thromboembolism(IMPROVE)のスコアで評価し、VTEスコアが4以上、またはスコアが2か3でDダイマーが500ng/mLを超えている場合とした。COVID-19で入院する前に、既に血栓症を起こしたことがある患者は除外した。

 スクリーニングは入院中に行い、条件を満たした患者を1対1の割合で、リバーロキサバン群と抗凝固薬を使用しない対照群にランダムに割り付けた。リバーロキサバン群は、退院から24時間以内に1日10mgの予防投与を開始して、35日間継続した。試験参加者には35日後に受診してもらい、両下肢のドプラ超音波検査とCT肺血管造影検査を実施した。なお、入院中は予防量のエノキサパリン、未分画ヘパリン、フォンダパリヌクスのいずれかによる血栓の予防投与を受けている。

 有効性の主要評価項目は、35日までに症候性または致死的なVTE、無症候性のVTE、症候性の動脈血栓塞栓症(心筋梗塞、非出血性脳卒中、メジャーな下肢の有害イベント)を合わせた複合イベントとした。安全性の主要評価項目は、International Society on Thrombosis and Haemostasis(ISTH)基準に基づく大出血とした。

 2020年10月8日から2021年6月29日までに997人をスクリーニングし、条件を満たした320人をランダムにリバーロキサバン群と対照群に160人ずつ割り付けた。両群ともに1人ずつが割り付け後に参加同意を撤回したため、intention-to-treat分析の対象は159人ずつとした。リバーロキサバン群の159人中157人(99%)は、少なくとも7日以上服薬を継続していた。リバーロキサバン群では、135人(85%)が下肢の超音波検査を受け、116人(73%)がCT肺血管造影検査を受けた。対照群ではそれぞれ、119人(75%)と90人(57%)が検査を受けた。

 ベースラインで参加者の平均年齢は57.1歳(標準偏差15.2歳)、性別は男性60%と女性40%、BMIの平均値は29.7(5.6)だった。入院期間は中央値で8日(四分位範囲6~12日)で、165人(52%)がICUに入院していた。入院中は273人(86%)がエノキサパリン1日40mgを投与されていた。197人(62%)はIMPROVEスコアが2~3でDダイマー値が上昇しており、121人(38%)はスコアが4以上だった。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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