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BMJ誌から
mRNA-1273の感染予防効果はデルタ株ではやや低い
mRNA-1273の各種変異株に対する予防効果を調べた診断陰性例コントロール研究

 米国Kaiser Permanente Southern California(KPSC)のKatia J Bruxvoort氏らは、Moderna社の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンmRNA-1273の2回接種が、各種変異株の感染を予防する効果を調べる診断陰性例コントロール研究を行い、デルタ株に対する効果は他の変異株に比べやや低く、効果は時間と共に減弱する傾向を示したと報告した。結果は2021年12月15日のBMJ誌電子版に掲載された。

 世界的にSARS-CoV-2ワクチンの接種が始まってから、接種が進んだ国では流行の抑制が見られた。しかし、その後はデルタ株が感染拡大の主流になる国や地域が増え、ブレークスルー感染の報告も増えてきた。ワクチン接種完了者のCOVID-19による入院リスクは、引き続き低いことが示されているが、感染予防効果は低下しているという報告が相次いでいる。

 デルタ株を含む変異株に対する予防効果を検討したこれまでの研究は、Pfizer/BioNTech社のワクチンBNT162b2に関するものが多く、mRNA-1273に対する報告がほとんどなかったため、著者らはmRNA-1273の変異株に対する予防効果を評価する診断陰性例コントロール研究を行うことにした。

 対象は、KPSCに加入してから1年以上経過している18歳以上の成人で、2021年3月1日から2021年7月27日までの期間にPCR検査を受けた地域住民。mRNA-1273以外のSARS-CoV-2ワクチンの接種を受けていた人、2回の接種間隔が24日未満だった人、標本採取日が2回目の接種から14日未満だった人、標本採取時点で3回目の接種を終えていた人、2020年12月18日から2021年2月末までにSARS-CoV-2に感染していた人などは分析から除外した。

 なお、KPSCでは2020年12月18日にSARS-CoV-2ワクチンの接種を開始して、KPSC関連施設以外で接種を受けた患者の場合もカリフォルニア州の登録データや本人申告によりデータベースに情報を統合している。希望する加入者には無料でRT-PCR検査を行い、2021年3月以降は陽性となった標本の全てについて、Ct値にかかわらず全ゲノムシーケンシングでウイルス株を調べている。

 PCR陽性者が感染していたウイルスは、塩基配列に基づいて、デルタ株、アルファ株、イプシロン株、ガンマ株、イオタ株、ミュー株、その他(ベータ株、イータ株、カッパ株、それ以外)に分類した。シーケンスに失敗した場合には、株不明とした。

 主要評価項目は、mRNA-1273の2回接種完了から14日以上経過した人のSARS-CoV-2感染とCOVID-19による入院に設定した。PCR検査で陽性だった患者1人当たり5人の割合で、年齢(18~44歳、45~64歳、65~74歳、75歳以上に層別化)、性別、人種/民族、標本採取日(±10日)がマッチする陰性コントロールを選出した。条件付きロジスティック回帰モデルを用いて、ケースとコントロールのワクチン接種のオッズを比較し、ワクチンの効果は、(1-オッズ比)×100%で算出した。分析は、個々の変異株について行った。

 共変数として、電子健康記録から、社会経済的特性や、過去2年間の健康状態(BMIや喫煙習慣など)、過去1年間の併存疾患スコア、自己免疫疾患の有無、医療サービス利用状況(外来受診、救急部門受診、入院、オンライン診療)、予防医療利用状況(検診や予防接種など)、慢性疾患(腎臓病、心疾患、肺疾患、肝疾患、糖尿病)の有無、Frailty Index、2020年3月以降のSARS-CoV-2 PCR検査歴などの情報を収集した。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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