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MDPI Vaccines誌から
ブレークスルー感染者から濃厚接触者への感染リスクは低い
ドイツケルン市でワクチン非接種者から濃厚接触者への感染リスクと比較

 ドイツケルン市公衆衛生局のLea Hsu氏らは、同市民の感染データを分析して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの接種完了者がブレークスルー感染した場合に、濃厚接触者に感染させる可能性は、ワクチン非接種者に比べ約3分の1であることが示唆されたと報告した。結果は2021年11月2日のMDPI Vaccines誌電子版に掲載された。

 ワクチン接種完了後にSARS-CoV-2に感染するブレークスルー感染者の事例が増えているが、ワクチン非接種者に比べると症状は軽く、死亡リスクは低い。また、気道のウイルス量も少ないことが示され、周囲に感染させるリスクも低いと考えられてきた。しかし、デルタ株の場合は、ブレークスルー感染者の気道に存在するウイルス量は非接種者と同レベルだったという報告がある。そこで著者らは、公衆衛生対策に役立てるため、ブレークスルー感染者からの感染拡大リスクを、ワクチン非接種者からの場合と比較することにした。

 ドイツでは法律に基づいて、PCR検査によって確定したSARS-CoV-2感染者と濃厚接触者の情報が記録されている。人口108万3498人のケルン市でも、2020年3月から感染者と濃厚接触者の情報登録を開始した。濃厚接触者は、感染確定者の発症から14日までに、1.5m未満の距離でマスクなしに10分以上接触する機会があった人とした。ブレークスルー感染者は、ワクチンの2回接種を完了しており、2回目から14日以上経過してからSARS-CoV-2感染が確定した場合とした。対照群は、ワクチンを接種していないケルン市内の感染者の中から、ブレークスルー感染者と年齢、性別、感染したウイルスの株(アルファ株、ベータ株、デルタ株または野生株)がマッチした人を1対1の割合で選び出した。ウイルス株の同定は、コストの問題から全ゲノム配列ではなく変異部分を指標として行っており、判定できなかったウイルスについては、その時点で最も流行していた変異株の感染と見なした。

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シリーズ◎新興感染症
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