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NEJM誌から
5~11歳の小児に対するBNT162b2ワクチンの臨床試験
この結果を受けて米国ではワクチンの接種年齢を5歳以上に拡大

 米国Duke Human Vaccine InstituteのEmmanuel B. Walter氏らは、Pfizer/BioNTech社のmRNAワクチンBNT162b2を5~11歳の小児に投与して有効性と安全性を調べる臨床試験を行い、このワクチンは5歳以上の小児に対しても安全で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症を予防する効果が見られたと報告した。結果は2021年11月9日のNEJM誌電子版に掲載された。米国食品医薬品局(FDA)は2021年10月29日に、この結果に基づいてワクチンの緊急使用許可の範囲を5~11歳にも拡大した。

 小児はCOVID-19を発症しても成人に比べると軽症で済むと考えられている。しかし、多系統炎症性症候群(MIS-C)を含む重篤例もまれに起こる。また、学齢期の小児が感染すると、学校や家庭にデルタ株などの感染を広げるリスクが高い。ゆえに、パンデミックが教育機会を損なわないように、学童にも安全で有効なワクチンが求められていた。

 BNT162b2ワクチンの対象年齢を拡大する臨床試験では、生後6カ月から11歳までの小児を対象に、用量を設定する第1相臨床試験と、安全性と有効性を調べる第2/3相臨床試験が計画されている。この論文では、カットオフ日(2021年9月6日)までにデータが得られた5~11歳の小児について、解析結果を報告している。試験参加者は、ワクチンの初回接種から2年後まで追跡して、COVID-19やMIS-Cの可能性をモニターすることになっている。

 試験の対象は、免疫抑制状態やMIS-Cの病歴がない小児とした。加えて第1相臨床試験では、臨床的にもウイルス学的にもCOVID-19にかかったことがない小児に限定した。

 第1相臨床試験では、2021年3月24日から4月14日までに米国の4施設で、5~11歳の小児50人をスクリーニングして、48人が実際にワクチンの接種を受けた。用量は12~15歳の臨床試験で用いた30μgを参考に、10μg、20μg、30μgの3群を設定した。各群に16人ずつ割り付けられ、BNT162b2ワクチンを21日間隔で三角筋に2回筋注することにした。各群ともまず4人が接種を受けて2日間の観察期間を設け、安全性に問題がなければ、残り12人が接種を受けた。10μg群の安全を観察してから、20μg群が接種を始め、30μg群も同様の手順を踏んだ。48人の平均年齢は7.9歳、男児が50%だった。

 第2/3相臨床試験は、6月7日から6月19日までに、米国、スペイン、フィンランド、ポーランドの81施設で2316人をスクリーニングして、条件を満たした2285人をワクチン群1528人とプラセボ群757人にランダムに割り付けた。このうち2268人(ワクチン群1517人とプラセボ群751人)が実際に1回目の接種を受けた。平均年齢は8.2歳、52%が男児だった。対象者の12%は肥満があり、8%は喘息があった。9%はベースラインでSARS-CoV-2抗体陽性だった。

 安全性の評価は、保護者が記録した接種後7日間の反応と、初回接種から2回目の接種の1カ月後までの自発的な有害事象報告を利用して行った。また、重篤な有害事象に関するデータは、2回目の接種から6カ月後まで収集することになっている。

 免疫原性の評価は、今回の試験に参加した5~11歳の小児のワクチン接種後の中和抗体価を、既に予防効果が示されている16~25歳の臨床試験で測定した抗体価と比較することにした。有効性の評価は、2回目の接種から7日後以降のCOVID-19発症予防効果について、ワクチン群とプラセボ群を比較することにした。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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