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NEJM誌から
VOIのミュー株は中和抗体抵抗性が強い
スパイク蛋白質のシュードウイルスを用いた中和試験

 東京大学医科学研究所の瓜生慧也氏らは、WHOが懸念される変異株(VOC)や注目すべき変異株(VOI)に指定したSARS-CoV-2ウイルスと同じスパイク蛋白質を持つシュードウイルスを用いて、COVID-19の回復患者やワクチン接種者の血清中に存在する抗体に対する中和試験を行い、検討したウイルス株の中でミュー株が最も強い抵抗性を示したと報告した。結果は2021年11月3日NEJM誌電子版にCorrespondenceとして掲載された。

 WHOは2021年9月の時点で、SARS-CoV-2変異株のうち、アルファ株(B.1.1.7系統)、ベータ株(B.1.351系統)、ガンマ株(P.1系統)、デルタ株(B.1.617.2系統とAY系統)をVOCに、イータ株(B.1.525系統)、イオタ株(B.1.526系統)、カッパ株(B.1.617.1系統)、ラムダ株(C.37系統)、ミュー株(B.1.621系統)をVOIに指定している。

 ミュー株がコロンビアで最初に分離されたのは2021年1月11日だった。同国における2021年3月から7月の感染拡大の当初は、ガンマ株の感染が主だったが、5月以降はミュー株が優勢になった。

 新たな変異株の監視は慎重に行われなければならない。特に、SARS-CoV-2感染歴がある人や、SARS-CoV-2に対するワクチンを接種した人の血清に含まれる中和抗体に対する変異株の感受性を知ることは、感染のコントロールにおいて重要だ。そこで著者らは、VOCやVOIに指定された変異株のスパイク蛋白質を発現しているシュードウイルスを用いた中和試験を実施した。

 試験に用いる血清サンプルは、パンデミックの初期(2020年4月から9月)に従来株に感染した13人に由来する回復期血清と、Pfizer/BioNTech社のBNT162b2ワクチンを2回接種した14人から採取した。その上で、血清中に存在する中和抗体に対する、変異株シュードウイルスの感受性を比較したところ、従来株と比較するとミュー株は、回復期血清中の中和抗体に対して10.6倍、ワクチン接種者の血清中の中和抗体に対して9.1倍という高い抵抗性を示した。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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