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NEJM誌から
ソトロビマブは新型コロナ患者の入院や死亡を減らす
サルベコウイルス亜属に対する抗体医薬ソトロビマブの臨床試験

 カナダWilliam Osler Health CentreのAnil Gupta氏らは、重症化リスクが高いと考えられる軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象に、抗体医薬のソトロビマブとプラセボの有効性を比較する第3相臨床試験の中間解析を行い、ソトロビマブは病状が進行して入院や死亡に至る患者の割合を有意に減らしていたと報告した。結果は2021年10月27日のNEJM誌電子版に掲載された。

 COVID-19患者の重症化予防に中和抗体を用いる治療が有望だが、新たな変異株の出現により、抗体の有効性が低下することが懸念されている。変異の起こりやすい受容体結合ドメインではなく、進化的に保存されやすい抗原決定基を見つけて中和抗体を作製すれば、変異株に対しても治療効果を維持しやすくなる。

 ソトロビマブ(VIR-7831)は、組み換え完全ヒト型モノクローナル抗体で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のみならず、重症呼吸器症候群ウイルス(SARS-CoV-1)を含む他のサルベコウイルス亜属に対しても中和作用がある。そのため汎サルベコウイルス抗体は、保存性の高い抗原決定基を認識すると考えられる。in vitroの研究では、SARS-CoV-2の懸念される変異株(VOC)と注目すべき変異株(VOI)に対する中和活性を検討したところ、ソトロビマブは全ての株に対して活性を示した。また、ソトロビマブは、半減期を延長し、肺組織に高い効率で移行するよう修飾されているため、投与後は長時間に渡って肺で機能すると予想される。

 現在進行中の第3相臨床試験Covid-19 Monoclonal Antibody Efficacy Trial-Intent to Care Early(COMET-ICE)は、軽症から中等症のCOVID-19外来患者で、重症化するリスクが高いと考えられる高齢者と基礎疾患のある患者を対象にしている。今回著者らは予定されていた中間解析を実施して結果を論文として報告した。

 COMET-ICE試験は、2020年8月27日から2021年3月4日まで、米国、カナダ、ブラジル、スペインの37施設で患者登録を行った。組み入れ対象は、PCR検査または抗原検査によりSARS-CoV-2感染が確認された成人のCOVID-19患者で、症状が発症してから5日以内の患者。ハイリスクの条件は、年齢が55歳以上であるか、以下の危険因子に少なくとも1つ該当する患者とした(治療中の糖尿病、BMI30を超える肥満、推定糸球体濾過量60mL/分/1.73m2未満の慢性腎臓病、NYHA分類でII~IVのうっ血性心不全、COPD、中等度以上の喘息)。酸素飽和度が94%未満の患者や、既に酸素補充療法を受けている患者は除外した。

 条件を満たした患者は、1対1の割合でランダムにソトロビマブ500mgまたはプラセボ(同量の生理食塩水)に割り付けて、24時間以内に単回静注した。

 有効性の主要評価項目は、割り付けから29日以内の、あらゆる理由による24時間を超える入院、または死亡とした。安全性の評価では有害事象を調べた。抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement 、ADE)が起こっていないかも調べることにした。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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