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Lancet誌から
米国でBNT162b2接種から6カ月後までの有効性を追跡
感染予防効果は時間と共に低下するが入院予防効果は下がらない

 米国Kaiser Permanente Southern CaliforniaのSara Y Tartof氏らは、主にPfizer社のmRNAワクチンBNT162b2の接種を完了した12歳以上の加入者を6カ月後まで追跡し、ワクチンのSARS-CoV-2感染予防効果とCOVID-19による入院予防効果を検討し、感染したウイルスの系統も調べたところ、感染予防効果は経時的に低下したが、入院予防効果はデルタ株に対しても維持されていたと報告した。結果は2021年10月4日のLancet誌電子版に掲載された。

 BNT162b2の臨床試験では、COVID-19発症予防効果は95%だった。イスラエル、米国、カナダ、英国、カタールなどにワクチンが導入された頃には、アルファ株が流行の主流になりつつあったが、リアルワールドのデータも、ワクチンの予防効果は高いことを示していた。

 ところが、デルタ株の感染が拡大した2021年6~7月に、このワクチンのデルタ株に対する感染予防効果は低いというデータが報告され、デルタ株の免疫回避説が唱えられた。このタイミングは、イスラエルや米国など、世界に先駆けてワクチン接種を推進した国では、医療従事者やハイリスクに該当する優先順位の高い人たちが2回接種を完了してから、6カ月が過ぎようとしていた時期に当たる。

 そのため、今後のワクチンの有効性に関する研究では、デルタ株の特性による影響と、ワクチン接種完了から時間が経過したことによる免疫の減衰の影響を区別して考える必要がある。3回目の接種を検討するためにも、今後のワクチン開発に有用な情報を提供するためにも、適切なデータが必要だ。そこで著者らは、米国の大規模ヘルスケアシステムのデータベースを利用して、時間経過に伴うワクチンの有効性の変化を調べる後ろ向きコホート研究を実施した。

 対象は、Kaiser Permanente Southern California(KPSC)が提供する医療保険システムの加入者で年齢12歳以上の人。病歴を確認できるように加入期間が1年以上ある人とした。この研究では、KPSCの電子健康記録を利用して、接種から6カ月後までのワクチンの感染予防と入院予防の効果を評価することにした。ワクチン接種完了者の定義は、2回目の接種から7日以上経過した人とした。2回目の接種から7日経過していない人や、1回しか接種していない人で14日経過した人は部分接種者とした。

 KPSCでは、2020年12月から医療従事者のCOVID-19ワクチン接種を開始し、徐々に接種者の範囲を拡大していった。2021年4月にはワクチンを受けられる対象が、16歳以上の希望者全員に広がった。5月からは12~15歳も接種を受けられるようにした。なお、加入者がKPSCの施設以外でワクチンを受けていないかは、カリフォルニア州の予防接種登録で照合した。

 主要評価項目は、あらゆる検体標本(気管支洗浄液、鼻咽頭スワブ、唾液、喀痰など)を用いて測定したPCR検査によるSARS-CoV-2陽性と、COVID-19による入院(症状の有無にかかわらず、入院14日前から3日後までの検査でSARS-CoV-2陽性を確認した患者の入院)とした。2021年3月4日~7月21日までにPCR陽性になった標本は、ホールゲノムシーケンスでウイルスの系統を調べた。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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