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BMJ誌から
COVID-19に対する血液製剤と抗体治療の総括
47件のランダム化比較試験によるネットワークメタアナリシス

 カナダMcMaster大学のReed AC Siemieniuk氏らは、COVID-19患者に対して回復期血漿や抗体製剤などの有効性と安全性を評価したランダム化比較試験を抽出してネットワークメタアナリシスを行い、抗体製剤の一部は入院リスクを軽減できたが、それ以外の治療にはベネフィットが見られなかったと報告した。結果は2021年9月23日のBMJ誌電子版に掲載された。

 これまでに、COVID-19に対する治療のエビデンスを見いだすために世界各国で行われた研究は、臨床試験登録に掲載されているだけでも2900件を超える。それらの約12%は、血漿療法または抗体療法に関する試験で、回復期血漿、免疫グロブリン静注(IVIg)、SARS-CoV-2に特異的な抗体製剤などの有効性と安全性が評価されていた。

 著者らはBMJ Rapid Recommendationsプロジェクトの一環として、COVID-19に対する抗ウイルス抗体療法と血漿療法の有効性と安全性を評価するために、living systematic review(最新のエビデンスを随時組み入れて継続的に更新する系統的レビュー)とネットワークメタアナリシスを実施した。不十分なデータがある転帰についてはペアワイズのメタアナリシスを行った。

 論文の検索には、WHOのCOVID-19データベース、米国CDCのcovid-19 Research Articles Downloadable Database、中国の6種類のデータベースを利用した。組み入れ対象は、COVID-19の確定例や疑い例に対して、血液製剤やSARS-CoV-2用に開発された抗体製剤を投与した臨床試験で、プラセボ、標準治療、他の血液製剤や抗体製剤を対照群にしたランダム化比較試験。ピアレビュー後に掲載された論文だけでなく、プレプリントの論文も検索対象に含めた。この研究では、ワクチン、薬物療法、漢方薬に関する試験、薬を用いない対症療法の試験は除外した。

 有効性の評価は、重症ではない患者(酸素飽和度が90%超で、呼吸数が30回/分未満、かつ重症呼吸窮迫症状が見られない患者)と、重症または重篤な患者に分けて行った。評価する項目は、死亡率、入院期間、ICU滞在期間、機械換気の使用、有害事象による治療中止、輸血関連の有害事象(TRALIやTACO)、症状改善までの時間、ウイルス消失までの時間などとした。メタアナリシスに含める研究は、ランダム割り付けに100人以上の患者が参加しており、評価項目のイベントが20件以上発生していた試験とした。

 5万2350件の文献をスクリーニングし、条件を満たす試験は47件見つかった。ピアレビュー誌の論文が30件、プレプリントが16件、アブストラクトのみの公開が1件だった。37件が入院した患者を対象に、10件は外来患者を対象にしていた。

 21件は回復期血漿を用いており、5件はIVIg、5件は臍帯由来間葉系幹細胞、4件はバムラニビマブ(LY-CoV555)、4件はカシリビマブ/イムデビマブ(REGEN-CoV)、2件はバムラニビマブ/エテセビマブ、2件は末梢血由来の濃縮非造血幹細胞、1件はソトロビマブ、1件はSARS-CoV-2 IVIg、1件は血漿交換療法、1件はXAV-19ポリクローナル抗体、1件はCT-P59モノクローナル抗体、1件はINM005ポリクローナル抗体を適用していた。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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