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JAMA Network Open誌から
パンデミックによる癌の診断遅れは日本でも
横浜の2施設でがん登録用のデータを用いた後ろ向きコホート研究

 横浜市立大学医学部の葛生健人氏らは、国内の2病院で消化器癌と診断された患者数と診断時点での癌のステージを、COVID-19パンデミック前とパンデミック中で比較し、胃癌と大腸癌の患者では、パンデミック前に比べステージIの段階で診断される患者の割合が有意に減少していたと報告した。結果は2021年9月21日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 米国で行われた横断的研究では、乳癌、大腸癌、肺癌、膵臓癌、胃癌、食道癌という6種類の癌の1週間当たりの診断件数が、パンデミック前に比べ46.4%減少したことが示されている。減少率が最も大きかったのは乳癌で51.8%、最も小さかったのは膵臓癌の24.7%だった。英国でも、1週間当たりの内視鏡検査の適用がパンデミック前に比べ12%減少し、癌の診断は58%減少したと報告されている。減少率は、食道癌は37%、胃癌は52%で、大腸癌が72%と高かった。

 そこで著者らは、日本でもCOVID-19パンデミックの影響で消化器癌の診断時期が遅くなり、より進行したステージで発見される割合が増えているかどうかを検討することにした。

 後ろ向きコホート研究の対象にしたのは、2017年1月~2020年12月に横浜市立大学医学部附属病院と国立病院機構横浜医療センターで、新たに癌と診断された患者。どちらの病院でもCOVID-19重症患者を受け入れたが、院内感染クラスターは発生しなかったため、患者紹介、診察、手術、化学療法などを制限する事態には至らなかった。しかし、日本消化器内視鏡学会が、内視鏡検査は感染リスクの高い手技であるため、緊急事態宣言が解除されるまで(2020年の4月と5月)無症候者に対する検査の延期を推奨したことにより、2施設もこれに従った。

 2017年1月から2020年2月までをパンデミック前の期間とし、2020年3月から2020年12月までをパンデミック中と定義した。新たに癌と診断された1カ月当たりの患者数とステージ分類を評価し、時期による違いを比較することにした。調査した癌は、食道癌、胃癌、大腸癌、膵臓癌、肝細胞癌、胆道癌の6種類。性別、年齢、診断日などの基本情報に加え、発見までのプロセスも調べた。健康診断(企業や学校、自治体)、スクリーニング、自覚症状が現れてからの受診に分類した。

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シリーズ◎新興感染症
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