日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
ワクチン接種後のCOVID-19感染で入院や死亡リスクが高いのはどんな人?
英国でブレイクスルー感染のリスク予測アルゴリズムを作成する試み

 SARS-CoV-2ワクチンを接種しても、一部にCOVID-19を発症する患者や、重症化して死亡する患者がいる。英国Oxford大学のJulia Hippisley-Cox氏らは、イングランドにおけるSARS-CoV-2感染の第2波で得られたデータを利用して、ワクチン接種後のブレイクスルー感染による入院や死亡のリスクが高いのはどんな人かを予測するアルゴリズムの構築を試み、検証した。これらのプロセスと結果は2021年9月17日のBMJ誌電子版に掲載された。

 以前に著者らは、英国での感染拡大の第1波で得られたデータを利用して、COVID-19を発症すると入院や死亡のリスクが高い人を予測するアルゴリズムとして、QCovidリスク評価ツールを開発した。このツールは実際に、COVID-19を発症したら最もリスクが高い人からワクチンを優先的に接種するために英国で活用された。

 その後、SARS-CoV-2ワクチンがより幅広い対象者に接種された状況を鑑みて、著者らは英国での第2波のデータを利用して新たに、ワクチンを接種したのにブレイクスルー感染を起こしやすいのはどんな人か、ブレイクスルー感染が起こった場合に重症化しやすいのはどんな人かを予測するアルゴリズムQCovid3の構築を試みることにした。なお同様に英国での第2波のデータを利用して、ワクチンを接種していない人のリスクを予測するQCovid2も著者らは検討している。

 モデルを検討するために、英国の大規模なプライマリケアデータベースであるQResearchを各種のデータベースとリンクさせ、患者の危険因子を探ることにした。National Immunisation Databaseによるワクチン接種歴のデータ、Hospital Episode Statisticsによる入院データ、national data for mortalityによる死亡データ、SARS-CoV-2感染データ、癌登録の化学療法や放射線治療データなどだ。

 コホートの組み入れ対象は、2020年12月8日から2021年6月15日までに、アストラゼネカのChAdOx1 nCoV-19ワクチンまたはPfizer-BioNTechのBNT162b2ワクチンを少なくとも1回以上接種していた年齢19~100歳の人。追跡はワクチン接種から14日目に開始して、イベント発生、患者の死亡、追跡終了予定日のいずれかまで継続した。追跡を開始する前にCOVID-19で入院した人は組み入れから除外した。

 主要評価項目は、COVID-19関連死亡(までの時間)とした。COVID-19関連死亡は、死亡登録の死因がそうなっていた場合と、PCR検査でSARS-CoV-2陽性が確定してから28日以内に死亡した場合とした。副次評価項目は、COVID-19関連入院(までの時間)とした。こちらは、診断が確定または臨床的にCOVID-19と診断されて入院した患者、あるいはSARS-CoV-2感染が確定する前の14日間に入院した患者とした。どちらも2回目(または1回目)の接種から14日以後のイベントを評価の対象に含めた。

 COVID-19関連死亡や入院の予測要因候補として、ワクチン接種回数(1回または2回)、年齢、性別、民族、タウンゼント剥奪指数、BMI、住居(介護施設やホームレスも含む)、慢性腎臓病、過去12カ月間の化学療法、1型または2型糖尿病、血液癌、過去6カ月以内の骨髄移植、呼吸器癌、過去6カ月以内の放射線治療、固形臓器の移植、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、まれな肺疾患(嚢胞性線維症、気管支拡張症、肺胞炎など)、肺高血圧症または肺線維症、冠疾患、脳卒中、心房細動、心不全、静脈血栓塞栓症、末梢血管疾患、先天性心疾患、認知症、パーキンソン病、てんかん、まれな神経系疾患(運動神経疾患、多発性硬化症、重症筋無力症、ハンチントン舞踏病)、脳性麻痺、骨粗鬆症性骨折、関節リウマチまたは全身性エリテマトーデス、肝硬変、双極性障害または統合失調症、炎症性腸疾患、鎌状赤血球貧血、HIV/AIDS、重症複合性免疫不全症、組み入れ前のSARS-CoV-2感染歴、について調べた。

 追跡期間中のSARS-CoV-2感染率の変化を考慮するために、英国での10万人当たりのPCR陽性率を7日間平均で計算し、分析に利用した。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

この記事を読んでいる人におすすめ