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NEJM誌から
BNT162b2ワクチンの3回目接種を実施したイスラエルの研究
2回接種から5カ月以上経過した高齢者のCOVID-19予防効果が大きく改善

 イスラエルWeizmann Institute of Science のYinon M. Bar-On氏らは、Pfizer/BioNTech社のSARS-CoV-2ワクチンBNT162b2の2回接種完了から5カ月以上経過した高齢者を対象に、デルタ株流行下で3回目の接種を行い、ブースター接種を受けた高齢者は2回しか受けていない高齢者に比べ、COVID-19発症と重症化を予防する効果が大きく向上したと報告した。結果は2021年9月15日のNEJM誌電子版に掲載された。

 イスラエルは、世界の中でもいち早くSARS-CoV-2に対するワクチンキャンペーンを開始したため、2021年3月末には国民の半数以上が2回の接種を完了していた。その結果、2021年1月中旬には人口100万人当たり900人だったCOVID-19発症率が、6月には100万人当たり2人未満まで減少した。しかし、新たな変異株、特にデルタ株の登場により感染は再拡大し、8月末には1日当たり1万人の新規発症例が見つかり、入院を要する患者も600人を超えるようになった。

 デルタ株感染者を分析した結果、ワクチンによる免疫効果が減弱していると報告されたため、イスラエル政府はブースター接種を承認することにした。最優先と考えられるハイリスク患者は7月12日に、そして7月30日には60歳以上の高齢者に対するブースター接種を許可した。そこで著者らは、BNT162b2ワクチンの3回目接種の発症予防効果と重症化予防効果を検討することにした。

 イスラエル保健省の医療データベースに、2021年9月2日までに記録されたデータを利用した。この時点で少なくとも5カ月前(3月1日よりも前)に2回のBNT162b2ワクチン接種を完了した60歳以上の高齢者で、7月30日の段階で生存が確認できた人は118万6779人いた。このうち、データの欠落が見つかった人や、7月30日より前にCOVID-19の診断を受けていた人、1月16日よりも前に2回目の接種を終えていた人などを除外して、113万7804人を分析の対象にした。3回目を打つブースター接種キャンペーンは、2021年7月30~8月31日まで実施した。SARS-CoV-2感染の確定と重症度の判定は、8月26日までのデータで決定した。

 対象者を、ブースター接種受けていない人(2回接種者)と、ブースター接種から12日以上経過した人(3回接種完了者)、ブースター接種から12日未満だった人、の3グループに分類した。効果判定の間隔を12日にしたのは、基礎研究によりブースター接種から1週間程度で中和抗体価が上昇すると予想され、効果が現れる以前に感染した患者は、接種から12日後には発症していると考えられるからだ。

 主要評価項目は、SARS-CoV-2感染陽性がPCR検査などにより確認されたCOVID-19の発症と、重症のCOVID-19に設定した。重症COVID-19は、安静時の呼吸数が1分間当たり30回超、室内気吸入下の酸素飽和度が94%未満、PaO2/FIO2比が300未満の症例と定義した。副次評価項目は、ブースター接種から4日目から6日目までの期間と、12日以上経過した後の、感染確定COVID-19の発症とし、交絡因子候補を調整し、Poisson回帰モデルを用いて分析した。

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シリーズ◎新興感染症
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