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EClinicalMedicine誌から
QTc延長はCOVID-19の重症化を予測する可能性
COVID-19で救急受診した患者828人の心電図を用いた分析

 米国St. Francis Hospital, The Heart CenterのAvni Thakore氏らは、COVID-19患者の心電図でQT間隔の延長が見られたことから、心臓に関連する重症化を示唆する所見になり得るという仮説を立て、COVID-19を発症し救急部門を受診した患者のベースラインの心電図所見と、その後のアウトカムを後ろ向きに検討し、心拍数を補正したQTcは、COVID-19患者が重症化したり死亡する予測因子であり、初期のマーカーとして有用な可能性があると報告した。結果は2021年8月6日のEClinicalMedicine誌電子版に掲載された。

 COVID-19患者に心室性不整脈につながりやすいQT延長が見られたという報告はあったが、初期の研究では投与されたヒドロキシクロロキン±アジスロマイシンの影響だと考えられていた。しかし、ウイルス粒子が感染者の心筋組織に存在することや、トロポニン値や脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値の異常も報告されていた。それらの情報をもとに著者らは、心電図にもCOVID-19に関連する異常所見が現れるのではないかと考えて、これを検証する後ろ向き研究を行った。

 2020年3月15日から5月30日までの期間に、New York市のSt. Francis病院の救急部門を受診し、PCR検査で陽性と判定された患者を対象にした。患者の特性、併存疾患、バイタルサイン、臨床検査値、画像データ、服薬情報、心電図、入院経過、アウトカムに関連する情報を収集した。COVID-19の心臓に対する影響は、トロポニン(0.03ng/mLを超えているか)、BNP(増加しているか)、NTpro-BNP(500pg/mLを超えているか)で、異常と正常に分類した。

 心電図は、25mm/秒の速度で記録された用紙を使用した。QT間隔は自動判定またはキャリパーで測定し、Bazettの補正式を用いてQTcを算出した。入院患者と外来患者のように心拍数に差があるグループ同士を比較する場合は、Fridericiaの補正式を用いてQTcを計算した。受診時に心室ペーシングを受けている患者や、心房細動のある患者はQTcの評価から除外した。比較のために、2019年にインフルエンザやRSウイルスによる呼吸器感染症で入院した連続する患者41人を対照群にして、QTcを評価した。

 期間中に著者の病院では、1428人のSARS-CoV-2陽性判定患者が救急受診した。このうち814人が救急部門を経て入院し、614人は外来で治療を受けて帰宅していた。入院した814人のうち、ベースラインの心電図所見がなかった56人と、心電図からQTcが正確に測定できなかった96人を除外した。残った662人のうち、579人は内科病棟に、83人はICUに入院していた。40人には右脚ブロックが、17人には左脚ブロックが、11人には心室内伝導遅延が、37人には異所性心室興奮が認められた。外来治療を受けて帰宅した614人では、166人についてベースラインの心電図所見が得られた。166人全員のデータが分析対象としての条件を満たしていた。

 ベースラインの心電図所見が得られた計828人を分析対象にした。平均年齢は66±16歳で、46.5%は高血圧、27.8%は糖尿病、27.3%に心疾患の既往歴があった。BMIの平均は28.7±6.4だった。入院した患者は、外来治療を受けて帰宅した患者に比べ、年齢が高く、男性が多く、高血圧、糖尿病、脂質異常症、脳卒中歴、不整脈、心疾患の有病率が高かった。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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