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EClinicalMedicine誌から
ロックダウンが認知症患者に及ぼした悪影響
認知機能が低下し、新たな症状を誘発し、ADLに支障を来した例が多数

 英国London大学Queen Square Institute of NeurologyのAida Suarez-Gonzalez氏らは、COVID-19対策としてのロックダウンや行動制限が認知症患者に与えた影響を検討するために系統的レビューを行い、こうした政策の影響で認知機能の低下、新たな症状の発症、活動量の減少などが観察されたと報告した。結果は2021年7月31日のEClinicalMedicine誌電子版に掲載された。

 認知症患者は多くの場合、日常生活に介助が必要で、急な変化を理解したり、これに適応したりすることが難しい。パンデミックにより、患者が日常的な支援サービスを受けることが難しくなり、治療のための受診が延期されたり、中止されたりした。また、都市のロックダウンは、市中に親族と住む患者が屋外に出ることを制限し、ケアホーム居住者を施設に閉じ込めた状態にした。社会的な刺激や知覚刺激を受けることがなくなり、楽しく有意義な活動を行えなくなると、認知症患者に、不安や感情鈍麻、睡眠障害、興奮、幻覚といった、行動症状や心理症状が現れるリスクが高まる。また、運動の機会が失われて、1日中座っているしかない生活は、身体機能と自立性の低下を引き起こす可能性がある。

 そこで著者らは、ロックダウンが認知症患者の健康に及ぼした影響を明らかにして、COVID-19感染予防の公衆衛生政策が患者に及ぼすリスクと利益のバランスを再検討することが必要だと考え、簡素化した系統的レビューを行った。

 Pubmed、PsycINFO、CINAHLに2021年2月27日までに登録された研究の中から、COVID-19パンデミックによる都市のロックダウンが、認知症患者の認知機能や、精神症状、ADLに及ぼした影響について定量的に検討し、ピアレビューを受けて公表されていたものを選んだ。

 ロックダウンの影響を評価していた研究は15件で、延べ6442人の認知症患者が含まれていた。13件は市中で生活している患者を対象としており、2件はケアホーム居住者を対象としていた。全てが、1回目のロックダウン期間のデータを分析していた。13件の研究の質は良好だったが、2件はバイアスリスクが高かった。

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シリーズ◎新興感染症
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