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Lancet Infectious Disease誌から
中国のワクチンAd5-nCoVをネブライザーで吸入した予備的臨床試験
28日間隔の2回吸入で、筋注1回に相当する効果がありそう

 中国軍事医学研究院のShipo Wu氏らは、単回投与する筋注用COVID-19ワクチンとして開発されたAd5-nCoVを、ネブライザーを用いて吸入投与するグループを設けて、筋注型のワクチンと効果を比較する予備的な第1相臨床試験を行い、Ad5-nCoVは吸入でも筋注と同様の抗体反応が起こり、認容性も高かったと報告した。結果は2021年7月26日のLancet Infectious Disease誌電子版に掲載された。

 中国のBeijing Institute of BiotechnologyとCanSino Biologics社が開発したAd5-nCoVは、アデノウイルスベクターを用いた単回投与の筋注用ワクチンとして設計され、第3相臨床試験で有望な成績が得られたため、中国をはじめとする数カ国で使用されている。著者らは今回、ネブライザーを介して同じワクチンを吸入投与した場合の安全性と忍容性、免疫原性を検討することにした。

 評価者をブラインドにしたオープンラベルの第1相臨床試験は、武漢大学中南医院で行われた。参加者は中国のIT企業テンセントのメッセンジャーアプリ「WeChat」を使って募集した。組み入れ条件は、年齢が18歳以上で、HIVが陰性、SARS-CoV-2検査で抗体陰性を確認できた人。さらに体温が37℃以下で、全般的に健康状態が良好な人とした。妊婦と授乳中の女性、アレルギーの病歴や、慢性疾患の患者、臨床検査値に明らかな異常がある人などは除外した。

 条件を満たした人は、性別と年齢(18~55歳または56歳以上)で層別化し、1対1対1対1対1の割合で、以下の5つのグループに割り付けた。1)HD群(2×1010ウイルス粒子を28日間隔で2回吸入する高用量群)、2)LD群(1×1010ウイルス粒子を28日間隔で2回吸入する低用量群)、3)MIX群(初回は5×1010ウイルス粒子を筋注し、2回目は2×1010ウイルス粒子を吸入する群)、4)片腕群(5×1010ウイルス粒子を1回筋注するのみで追加接種はなし)、5)両腕群(5×1010ウイルス粒子を左右両腕の三角筋に筋注し、追加接種はなし)。

 吸入投与にはネブライザーを使用して、0.2mLまたは0.1mLのワクチンを中央値で直径5.4μmのエアロゾルにし、30~60秒かけて吸入してもらった。

 安全性の主要評価項目は接種後7日間の有害事象とした。免疫原性の主要評価項目は、接種完了から28日時点の、SARS-CoV-2スパイク蛋白質の受容体結合ドメインに対するIgG抗体と、SARS-CoV-2に対する中和抗体の幾何平均抗体価に設定した。受容体結合ドメインに対するIgG抗体とIgA抗体のレベル、およびSARS-CoV-2に対する中和抗体価は、ベースラインと各回の接種後14日目と28日目に測定した。

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シリーズ◎新興感染症
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