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EBioMedicine誌から
季節性コロナウイルス抗体によるSARS-CoV-2交差防御は期待できない
COVID-19以外の原因で入院した患者の血液標本を調べたフランスの研究

 フランスPasteur研究所のTom Woudenberg氏らは、COVID-19以外の原因で2020年の春にフランス北東部の病院に入院した患者の血液標本を用いて、SARS-CoV-2と4種類の季節性ヒトコロナウイルス(HCoV)に対する抗体検査を行い、HCoVに対するIgG抗体は交差反応を起こすことがあるが、SARS-CoV-2に対する感染防御効果はなさそうだと報告した。結果は2021年7月22日のEBioMedicine誌電子版に掲載された。

 新生児が母親から受け付いた4種類のHCoVに対する抗体価はいったん下がっていくが、ほとんどの小児は5歳までにHCoVに初回感染するため、小児期に抗体陽性率は急速に増加し、その後もウイルスの再暴露により成人期まで抗体陽性は維持される。そのため、小児がCOVID-19を発症しても、大半が軽症で済む理由は、HCoVに対する抗体がSARS-CoV-2に対しても保護的に作用するからという仮説を考えている人もいる。しかし、抗体の交差反応については、パンデミック前に採血された標本を利用した限られた研究データしかない。そこで著者らは、COVID-19以外の原因で入院した患者の血液標本を用いて、よりサンプル数の多い規模の大きなコホート研究で、交差反応について調べることにした。

 コホートの組み入れ対象は、フランスでのCOVID-19感染拡大の第1波にほぼ相当する、2020年の2月から8月までに、フランス北東部の11病院にCOVID-19以外の病気で入院した、小児と成人の患者(0~100歳まで)。

 検査や治療に必要なため採血された標本を用いて、3種類の抗体検査を実施した。まず、SARS-CoV-2の5つの抗原と、4種類のHCoV(アルファコロナウイルスの229EとNL63、ベータコロナウイルスのHKU1とOC43)の三量体スパイク蛋白質に対するIgG抗体を検出する、ビーズを用いたマルチプレックス抗体アッセイを行った。次にSARS-CoV-2のヌクレオカプシド蛋白質に対する抗体を検出する、ルシフェラーゼを用いた免疫吸着体測定法(LuLISA)による検査を行い、さらにシュードウイルスを利用したSARS-CoV-2中和試験も実施した。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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