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EClinicalMedicine誌から
COVID-19回復患者に重症度依存的な認知機能低下の可能性
英国BBCが番組で行った大規模認知機能テストとCOVID-19の病歴を調べた研究

 COVID-19の後遺症の1つとして、brain fogと呼ばれる現象が報告されている。英国Imperial College LondonのAdam Hampshire氏らは、主に英国の人々がインターネットを通じて回答した認知機能テストの結果とCOVID-19の病歴を検討し、回復後の患者にCOVID-19の重症度に応じた認知機能の低下を示唆するデータが得られたと報告した。結果は2021年7月22日のEClinicalMedicine誌電子版に掲載された。

 COVID-19から回復した患者に、慢性的な疲労感や、見当識障害、集中できない、適切な言葉が出てこない、といった幅広い心理症状が認められている。神経症状は、敗血症や低酸素症、免疫系の過剰な反応、脳の白質の変化などに起因する可能性が考えられている。しかし、COVID-19による重症度と認知機能の変化の関係は、明らかではなかった。

 研究者たちは、英国放送協会(BBC)のドキュメンタリー番組であるBBC2 Horizonが進めているプロジェクトThe Great British Intelligence Test(GBI)で収集された情報を利用することにした。このテストは、一般の参加者がウェブサイトを通じて、認知機能を評価するオンライン調査に回答するものだ。9種類の認知機能テスト(Block Rearrange、Tower of London、Digit Span、Spatial Span、Target Detection、2D Mental Rotations、Analogical Reasoning、Rare Word Definitions、Face Emotional Discrimination)を通じて、注意力、作業記憶、問題解決、情動処理などの能力を評価する。テストは主に高齢者と軽度認知機能障害や運動障害がある人に向けて開発された。既存の神経心理学的検査を参照としてその精度が確認されている。GBIでは認知機能テストの後に、回答者の属性(年齢、性別、職業、収入など)も質問している。

 プロジェクトは2019年12月に始まり、BBCは2020年1月から視聴者に参加を呼びかける宣伝を開始した。著者らは、英国でパンデミック対策のロックダウンを実施していた2020年5月に、COVID-19の診断歴と経験した症状や重症度、その他の病歴、抑うつ・不安・不眠・疲労などの自己評価に関する質問を追加して、COVID-19とGBIテスト成績との関係についても検討できるようにした。回答を終了した参加者は、回答者全体の中で自分の認知機能の成績がどのくらいに位置するのか、サマリーリポートが提供された。BBCは5月に、初期の回答者のデータを紹介するドキュメント番組を作成して、プロジェクトを盛り上げた。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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