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JAMA誌から
IL-6阻害薬はCOVID-19入院患者の28日死亡率を減らす
WHOのワーキンググループによるメタアナリシス

 WHO Rapid Evidence Appraisal for COVID-19 Therapies(REACT)Working Groupは、COVID-19で入院した患者に対するIL-6阻害薬(主にトシリズマブ)の有効性と安全性を調べた研究を検索してメタアナリシスを行い、標準治療のみ、またはプラセボを投与した場合に比べ、28日死亡率が低かったと報告した。結果は2021年7月6日のJAMA誌電子版に掲載された。

 COVID-19入院患者を対象として、IL-6阻害薬の効果を検討する臨床試験が複数行われているが、得られた結果はさまざまで、利益を示したものもあれば、効果なしとするものや、有害だったと報告しているものもあった。そこでWHO REACT Working Groupは、IL-6阻害薬とプラセボまたは標準治療のみの場合を比べたランダム化比較試験のデータを集めてメタアナリシスを行うことにした。

 2020年10月7日から2021年1月11日までに、ClinicalTrials.gov、EU Clinical Trials Register、WHO International Clinical Trials Registry Platformに登録されていた研究の中から、COVID-19入院患者に対してIL-6阻害薬(トシリズマブ、サリルマブ、クラザキズマブ、シルツキシマブ、オロキズマブのいずれか)を投与する介入群と、ステロイド以外の免疫調節薬を投与しない対照群のアウトカムを比較していた研究を選び出した。

 主要評価項目は、ランダム割り付けから28日以内の総死亡率とした。トシリズマブとサリルマブを区別して評価を行い、IL-6阻害薬とステロイドの有効性も比較することにした。副次評価項目は、28日以内に侵襲的機械換気またはECMOが必要になるか死亡するリスク、28日以内に昇圧薬が必要になるか死亡するリスク、28日以内の2次感染症発生リスク、院内死亡、28日以内の生存退院、28日以内の透析開始などとした。重篤な有害事象に関する情報も収集したが、研究により定義が異なるためにメタアナリシスは行わなかった。

 検索で見つかった72件の研究のうち、条件を満たし、データが入手可能だった27件を分析対象とした。9件のデータは既に論文発表されていたが、18件は未発表かプレプリントとして公開されていた。これらを併せて2020年2月26日以降に28カ国で登録された1万930人(年齢の中央値は61歳、四分位範囲は52~68歳、女性が33%)の患者データを検討した。

 IL-6阻害薬としてトシリズマブを用いていた研究が19件(延べ4299人をトシリズマブに、3749人を標準治療またはプラセボに割り付け)、サリルマブを用いていた研究が9件(2073人をサリルマブに、753人を通常のケアまたはプラセボに割り付け)、シルツキシマブを用いていた研究が1件(77人をシルツキシマブに、72人を通常のケアまたはプラセボに割り付け)だった。なお、同一の試験で複数のIL-6阻害薬を比較していた研究が2件含まれていた。

 Cochrane Risk of Bias Assessment Toolを用いてバイアスリスクを評価したところ、29件中22件はバイアスリスクが低かった。6件は、主に登録患者数が少なかったために、バイアスリスクは中等度と見なされ、1件は高リスクと判断された。この結果に基づいて重み付けを行った。

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シリーズ◎新興感染症
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