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トピック◎COVID-19拡大の他疾患への影響
急性心筋梗塞例に重症合併症が相次いだ理由

写真1 国立循環器病研究センター病院心臓血管内科部長の野口暉夫氏(右)と冠疾患科の藤野雅史氏

 「また急性心筋梗塞の重症合併症です。今週だけで2例目です」。国立循環器病研究センター病院心臓血管内科部長の野口暉夫氏は、同病院冠疾患科医師の藤野雅史氏が叫ぶように発した、こんな言葉を覚えている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第1波で1回目の緊急事態宣言が発せられたころだ。なぜこんなことが起こったのか。

 野口氏によると、急性心筋梗塞の重症合併症は、通常であれば国立循環器病研究センター病院で診る年間250例のうち1、2例という頻度だという。これが立て続けに受診したことは、異常事態でしかなかった。「臨床医としての肌感覚では、何か大変なことが起こっているという思いだった」(野口氏)。

 最初に警鐘を鳴らした藤野雅史氏は、こう振り返る。

 「心臓の病気で外来を受診していたAさんが、かかりつけ医からの紹介で当科を受診した。重症化しており、なぜこんな状態になるまで受診しなかったのか疑問に思った。後日Aさんに尋ねると、コロナが怖くて受診できなかったと明かした」。

 胸の痛みがありコロナ感染を心配したAさんは、いつも通っていた藤野医師のもとではなく、近隣の保健所に相談した。保健所はかかりつけ医の受診を進め、そのかかりつけ医が急性心筋梗塞を疑い藤野医師へと紹介したのだった。こうして発症から受診までの時間がかかり、Aさんは重症化していた。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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