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EClinicalMedicine誌から
テノホビルとエムトリシタビンはCOVID-19患者のウイルス増殖を抑えるか?
フランスで行われた外来患者60人のパイロット試験

 フランスCaen大学病院のJean-Jacques Parienti氏らは、核酸アナログでRNAポリメラーゼを阻害する作用があるテノホビルとエムトリシタビンをCOVID-19患者に外来で7日間投与して、標準治療のみの患者と有効性を比較する予備的な第2相臨床試験を行い、2つの薬によってPCR検査でウイルスが検出できなくなるまでの期間が短縮されたと報告した。パイロット試験の結果は2021年6月26日のEClinicalMedicine誌電子版に掲載された。

 テノホビルとエムトリシタビンは、HIV感染症治療薬としてわが国でも承認されている。RNAポリメラーゼを阻害する作用があるため、SARS-CoV-2に対してもウイルスの増殖を抑えることが考えられ、in vitroやin vivoの実験では有望な結果が得られていた。しかし、COVID-19患者に投与したこれまでの観察研究の結果は一貫していなかった。そこで著者らは、テノホビルとエムトリシタビンはヒトの体内でもSARS-CoV-2の複製を阻害するという仮説を検証しようと試みた。

 ARO-CORONA試験は、フランスの2病院で予備的に実施したオープンラベルのランダム化比較試験だ。組み入れ対象は、鼻咽頭スワブのPCR検査でSARS-CoV-2陽性の診断が確定し、発症から7日未満(診断から5日未満)の連続する成人患者で、緊急入院を必要とせず外来治療が可能と判断された人。妊婦や授乳中の女性、腎機能が低下している人、HIV・HBV・HCVに感染している人、2つの薬の禁忌に該当する人などは除外した。

 条件を満たした参加者は、1対1の割合でテノホビル+エムトリシタビン併用群と標準治療のみの対照群に割り付けた。併用群には、HIVの予防に用いられているテノホビルジソプロキシルフマル酸245mgとエムトリシタビン200mgの合剤が処方され、7日間服用してもらった。用量は初日のみ1日2錠とし、それ以後は1日1錠ずつ使用した。参加者には期間中にに2回(2~3日目と5~6日目)、症状に関する質問表に回答するよう依頼した。治療群には有害事象についても尋ねた。また、4日後と7日後には外来受診を求めて、診察を行い、PCRのための鼻咽頭スワブを採取した。

 主要評価項目は、鼻咽頭サンプルを用いた定量的PCR検査で測定したベースラインから4日後までのウイルス量の変化とした。副次評価項目は、7日後までのウイルス量の変化とした。PCR検査のCt値(Threshold Cycle)は、サンプルのRNA量が少ないほど、閾値を超えるための増幅回数が多く必要になるため、数値が高くなる。その他の評価項目は、回復までの日数、報告された有害事象の数などとした。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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