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JAMA誌から
SARS-CoV-2中和抗体が介護施設入居者とスタッフのCOVID-19を減らす
米国の高度看護施設や介護付き住宅でクラスターの予防効果を調べた臨床試験

 米国North Carolina大学Chapel Hill校のMyron S. Cohen氏らは、高度看護施設や介護付き住宅の居住者とスタッフを対象として、SARS-CoV-2に対する中和抗体製剤bamlanivimabのCOVID-19発症予防効果とSARS-CoV-2感染予防効果を検討するフェーズ3試験BLAZE-2を行い、bamlanivimabはプラセボに比べCOVID-19発症者を減らしていたと報告した。この試験のパート1部分で得られた結果は2021年6月3日のJAMA誌電子版に掲載された。

 SARS-CoV-2ワクチンの接種は広がりつつあるが、接種者の割合が十分に高くなるまでの期間は、他の予防策、例えば受動免疫のような方法も必要になると考えられる。複数の疾患を抱える高齢者や、フレイルに相当する人の場合、ワクチンを接種しても十分な免疫が得られない可能性や、効果が持続しない可能性も懸念されている。

 SARS-CoV-2のスパイク蛋白質に対する中和活性を保有するモノクローナル抗体は、SARS-CoV-2感染またはCOVID-19発症を予防できる可能性がある。Eli Llly社が開発したSARS-CoV-2に対する中和抗体製剤bamlanivimabとetesevimabは、BLAZE-1試験の結果に基づいて、重症化するリスクが高い軽症から中等症のCOVID-19患者に対する治療薬として、米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可(EUA)を得ている。そこで著者らは、より脆弱と考えられる米国内の高度看護施設や介護付き住宅の入居者と施設のスタッフを対象にしたフェーズ3試験BLAZE-2を実施することにした。この試験は現在も進行中だ。

 BLAZE-2試験には、全米各州から74施設が参加した。どの施設でもクラスター発生の発端になる可能性があるindex caseのSARS-CoV-2感染者が最低1人は発生しており、同じ施設内の入居者とスタッフに対するbamlanivimabの予防効果を調べることにした。組み入れ対象は、index caseが報告されてから7日以内に施設内のスクリーニングを行い、COVID-19感染歴を持たない18歳以上の居住者とスタッフを選んだ。参加者は、1対1の割合でbamlanivimab群またはプラセボ群にランダムに割り付けた。スクリーニング時点でPCR検査と抗体検査を行ったが、結果が判明する前に割り付けを行ったため、bamlanivimabの有効性の評価は検査結果がどちらも陰性だった人を対象に行った。安全性の評価は参加者全員を対象にした。

 参加者は、bamlanivimab4200mgまたは生理食塩水のプラセボを点滴静注で1回投与を受けた。感染予防効果の評価は8週間後の時点で行い、さらに24週間後まで追跡することにした。鼻腔スワブ標本によるPCR検査は、1、8、15、22、29、36、43、50、57日目に実施した。抗体検査は29と57日目に行った。参加者には毎日、過去24時間にCOVID-19に関係する症状がなかったかどうかを尋ねた。バイタルサインなども毎日記録した。追跡期間中にSARS-CoV-2陽性となった患者には、標準的な治療を行った。

 主要評価項目は、割り付けから8週以内のCOVID-19発症とし、RT-PCR検査によるSARS-CoV-2陽性判定から21日以内に軽症以上の症状を呈した患者を発症者とみなした。副次評価項目は、8週以内の中等症以上のCOVID-19発症と、割り付けから4週以内のSARS-CoV-2感染、COVID-19による入院や死亡などとした。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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